レクサスカード特約店のゴルフ場が名コースである理由を、著名なゴルフ・ジャーナリスト、西澤忠が自身の体験に基づく豊富な知識で論じます。
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特選ゴルフコース論

総武カントリークラブ 総武コース

文・西澤忠(にしざわ ただし/ゴルフ・ジャーナリスト)

国際的トーナメントの舞台として半世紀を重ねる名門コース。背景には、同コースで行われた国際試合の舞台設定を欧米並みのクオリティに高めた米国人トーナメント・ディレクター、ジャック・タトヒルの存在があった。

中コース18番パー4。さまざまなトーナメントでフィニッシングホールとなり、勝負を決する舞台となった名物ホールである。

国際的トーナメントの舞台装置

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総武CCというと忘れ難い人の名前が浮かぶ。ジャック・タトヒル(Jack Tuthill)という米国人で、ここ総武コースで行われた国際試合の舞台設定を欧米並みのクオリティに高めた人だ。

1964(昭和39)年創設のコースでは早くから日本プロ・日本オープンの公式試合を開催し、国内有数のチャンピオン・コースの評価を得ていたが、1972(昭和47)年、本格的な国際的トーナメントの第1回太平洋クラブ・マスターズを開催することになってクラブとしてはコースをどうするか?を真剣に考えざるを得なかった。当時のオーナー・小宮山義孝氏の発案で、米国ツアーのトーナメント・ディレクターとして活躍中のJ・タトヒル氏を招聘し、準備を進めた。彼の提案は27ホールの中から最適ホールだけを選んで18ホールにする“ピック・アップ方式”だった。その結果、1967(昭和42)年のマスターズ・チャンピオン、ゲイ・ブリュアーが優勝する白熱したゲームを生んだが、当時としては珍しいグラファイト製のブラック・シャフトのクラブに話題が集中してしまった。

元FBIの捜査官という異色の経歴を持つタトヒル氏のツアー運営知識と経験から導入されたこの方式は、半世紀近くを経た現在でも継承されている。また彼にはコース設計の知識もあったので、印旛コースの改造やスプリングフィルズGCの設計も手掛けた。距離も短く、イージーな内容だった印旛コースではフェアウェイを2メートル近く掘り下げ、その土量を左右の林の根元に盛り上げるという方式で、「こんな改造があるのか?!」と驚いたものだ。船底型のフェアウェイはボールを中心に集めてくれるので果敢なショットが可能になり、戦略性も増したからだ。

また、並行して総武国際オープン(アジアパシフィック・キリン・オープンの前身)も行われたが、忘れ難いゲームは1973(昭和48)年の第2回大会。ジャンボ尾崎と内田繁のプレー・オフに縺れた試合は内田が最終ホール、劇的イーグルで優勝した。今の中コースの18番、内田の打った第2打の4番アイアン・ショットがカップ近くに落ち、そのままカップ・インするフィナーレだった。その後、太平洋クラブ・マスターズは御殿場コースへ会場が移るまで5回開催したし、日米プロ対抗戦やサントリー・オープン、2度目の日本プロなどを開催、“ビッグ・ゲームなら総武CC”と定番になったものだ。

そして今年、日本ツアーの“HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP”が総武コースで開催される。J・タトヒル氏の蒔いた種が何度でも開花しているわけだ。

現在の総武コースは2011年に建て替えた新しいクラブハウスがプレーヤーを迎えている。“森の中の邸宅”をイメージしたという建物は、石造りの外観といい落ち着いた雰囲気の内装といいどこかフランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル旧本館のイメージを喚起させる。彼が発見した栃木県産の大谷石と鉄平石の違いはあるが、人の心を温かくする建物になっているのだ。

コース視察をした日は西コース・東コースの順にラウンドした。当日のベント・グリーンは9.3フィートの速さで、起伏も緩やかでプレーしやすかった。外国人設計家の造る最近のベント芝グリーンのように、段差の激しい起伏豊かなグリーンではないところに歴史を感じたもの。それだけに面積が平均400平米と小さいので難しさを感じた。

設計した富沢誠造はこの土地の生まれで、戦前の名門クラブ・武蔵野CC(六実Cと藤ヶ谷C)のグリーン・キーパーからこの世界に入り、井上誠一のもとで修業して設計家になった人。だから、この土地の起伏や芝、樹木に深い知識があり、まるで自宅の庭を造形するような仕事であったろう。

東コースのプレー中に気が付いたのはいくつかのホールにフェアウェイが船底型になる形を見たこと。「あぁ、タトヒルさんはこれを見て、印旛コースの改造案を思いついたのか!」と設計家の霊感ヒントはこんな身近にあるものかと思った。

「アマチュアの1ラウンドのプレーとは18回の閃きに巡り合うことだ」(A・W・ティリングハースト)と米国の名設計家は名言を残したが、ホールの裏側に潜んでいる設計家の閃きに1ラウンドで1回でも良いから出逢いたいものである。死ぬまでに残されたラウンドの数は少ないのだから……。

総武カントリークラブ 総武コース

伝統あるコースにふさわしいクラブハウス

総武コースのクラブハウスは、重厚な石造りとダークトーンの色合いがご好評をいただいております。2011年の竣工以来、4年の月日を重ねたことで、より一層暖かみのある落ち着いた雰囲気となってきました。設計段階で思い描いたF・L・ライトによる邸宅のようです。数々のトーナメントを開催し、歴史と伝統のあるコースにふさわしいクラブハウスで、プレー前後にゆったりおくつろぎください。

住所:千葉県印西市草深302
電話:0476-46-7111
アクセス:東関東自動車道・四街道I.C.から約25分
北総線「千葉ニュータウン中央駅」、京成線・東葉高速線「勝田台駅」から送迎あり
URLhttp://www.pacificgolf.co.jp/sohbu/sohbu/

moment 2015年 9/10月号より