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日本のものづくり
今までにない味への挑戦。「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」ブレンダーインタビュー

2023年、サントリーのウイスキー100周年を記念して発売された特別限定品「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」。去年は発売してすぐに完売となったが、2024年多くのリクエストに応え再販開始。現在はごく限られたホテルなどで飲むことが可能だ。ジャパニーズウイスキーが誕生してから100年。今や世界的人気となっているウイスキー「響」の主席ブレンダー・輿石 太氏にこの特別な一本に込めた思いをインタビューし、また実際に飲めるホテルをご紹介する。

Photo&movie:Tadahiko Nagata
Text:Misa Yamaji (B.EAT)

日本のブレンデッドウイスキーを
代表する「響」

1923年、サントリーの創業者・鳥井信治郎は、日本人の味覚に合うウイスキーをつくりたいと、京都郊外の山崎において日本初のモルトウイスキー蒸溜所建設に着手した。
これが、日本におけるウイスキーづくりの歴史が始まった瞬間だ。

今でこそ、シングルモルトウイスキーが人気を博しているが、昔からつくられていたジャパニーズウイスキーといえば、ブレンデッドウイスキーだ。

製造当初、スコットランドの伝統的な手法に学びながら、日本の独自の気候風土の中で試行錯誤を繰り返し、洋酒になじみのない日本人に受け入れてもらうには、時代の流れや嗜好に寄り添うことが欠かせず、それには味や香りの出方をイメージに近づける“ブレンド”が欠かせなかったからだ。

左から「響 Japanese Harmony」、「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」、「響 21年」

サントリーを代表するブレンデッドウイスキー「響」は、創業90周年となる1989年に誕生した。「人と自然と響きあう」というサントリーの企業理念から名前をとったウイスキーは、まさに同社のウイスキーづくりの技術と情熱の結晶といっても過言ではない。

「響」は、どのシリーズもサントリーが有する「山崎蒸溜所」、「白州蒸溜所」、「知多蒸溜所」の3つの蒸溜所で作られた百万樽を超える中からブレンダーが原酒を選び、響らしい味わいを緻密に調整しながらブレンドして作られる。

現在のラインアップは、「響 Japanese Harmony」、「響 17年」(現在休売中)、「響 21年」、「響 30年」など。2004年に「響 30年」がインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で最高賞の「トロフィー」を受賞。以降、それぞれのウイスキーがさまざまな賞を受賞し、その名声が世界に広まっていく。

2023年、サントリーのウイスキーづくり100周年を記念して販売された特別限定ボトル「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」は、そんな「響」の歴史を凝縮した究極の一本だ。ロックグラスに注いだ瞬間に立ち上る華やかな香りにまず驚くだろう。少しずつ口に含めば、ミズナラ樽由来の甘い香りが長く余韻となって楽しませてくれる。

そんな特別な「響」のブレンドに携わったブレンダー・輿石 太氏に、ジャパニーズウイスキーの魅力、そしてこの特別な一本をどのようにつくったのかをインタビューした。

主席ブレンダーの輿石 太氏。

日本人に合うのは
食中に飲めるウイスキー

――日本のウイスキーが今や世界中から高い評価を受けています。輿石さんが考える日本のウイスキーの魅力というのはどういうところにありますか?

輿石:魅力といえるかわかりませんが、私たちのウイスキーづくりの思いは、1923年に山崎蒸溜所をつくったときから今までずっと変わりません。それは、「日本人の味覚に合うウイスキー」をつくる、ということですね。日本人に合うウイスキーというのは、日本の食事に合うということ。弊社では、ウイスキーを水割りやハイボールなど、食中酒として飲用する訴求をしてきており、お客さまの飲用時品質を意識した味わいが日本のウイスキーの魅力のひとつになるのかなと思います。


――日本人の味覚というのは、やはり世界と比べると少し違うのでしょうか。

輿石:そうですね。やはり繊細さというのはあると思います。「響」は香りが華やかで、味わいのタッチがシルキー、少し甘いのも日本人に合うのではと思います。


――日本のウイスキーがこれだけ世界から注目を集めるようになったのは、いつ頃からだと思われますか?

輿石:サントリーは1989年に山崎蒸溜所に新設備をつくり、大きく改修しました。このときに数をたくさんつくる方向に舵を切るのではなく、品質を向上するための改修をしたんです。その後、「山崎」の12年が国際コンペティションで金賞を取りました。そこから世界でも注目されるようになったように思います。

「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」は桐の箱にはいって、フタが台となる仕様に。

――「響」はサントリーの中ではどういう位置付けのウイスキーですか?

輿石:サントリーを象徴するウイスキーだと思います。会社がずっと追求してきた日本人の味覚に合うブレンデッドウイスキーです。同時に“文化を伝える”という側面もあります。デキャンタボトルは、日本の季節を表現する24節気をデザインに取り入れ、24面カットが施されています。季節の巡りを敏感に感じ取り、美しさや尊さをくらしに取り入れた日本人の感性や文化を表現しているのです。ラベルにも越前和紙を採用しています。ウイスキーだけではない文化を伝える役割が「響」かなと思っていますね。


――なるほど。「響」の味わいの特徴はどういうところにあると思いますか?

輿石:「響」は山崎蒸溜所、白州蒸溜所、知多蒸溜所の3つの蒸溜所の原酒をブレンドするんですが、知多のグレーンウイスキーを使うことで、飲みやすくなっていると思います。シングルモルトウイスキーだとモルトの香りが強く、重く感じられてしまい飲めない、という方がいらっしゃいますが、「響」は華やかさみたいなものが加わりどんな方でも飲みやすいと思いますね。この香りの華やかさ、そしてその甘い香りが長く続くこと、ほのかな甘さなどに、「響」の“枠”があると僕は思っていまして、そういうところは外せないと思っています。

山崎蒸溜所の中に眠る「山崎」の原酒。

時を超えた原酒を掛け合わせ
至高の味をつくり出した「響」

――そうした「響」のラインアップの中で、特別限定でつくった「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」はどんなところが特徴なのでしょうか?

輿石:響Anniversary Blendは、17年以上の原酒から古いものは38年の原酒など熟成年数の違うものを使ってブレンドすることで、濃厚さがある中でもみずみずしい果実香が感じられるところです。


――今まではそうした幅広い原酒をブレンドはしなかったのでしょうか?

輿石:そうですね。響21年、30年などは、熟成年数が近い原酒をブレンドします。しかし、こちらは100周年記念の製品なので、普通とは少し違うことをやろうと思っていました。原酒を幅広く使って、その中で「響」らしさをどうやって表現できるかというところをチャレンジしたいと思いました。例えば、17年の原酒はものすごく飲みやすい軽快さがあります。そこに38年の古酒の熟成感を加えるというのは今回、初めてでした。バランスをとりながら古い原酒の凝縮された熟成感や甘みをどうこの製品に出すかというのは挑戦的な試みだったと思います。

ブレンダーの仕事は、イメージする香りに近づけるために少しずつ原酒の配合を変えていく地道な作業だ。

――ブレンドをしていくうえで難しいところなどはあったのでしょうか?

輿石:38年の原酒はミズナラ樽で熟成した「山崎モルト」を使っていますが、ミズナラ樽は長く寝かせていると神社仏閣のような香りが出てきます。この香りが出過ぎると「響」らしくなくなってしまう。ですからその調整が難しかったですね。


――神社仏閣の香りとは?

輿石:神社仏閣の香りというのは、ブレンダーの中でも使う言葉なのですが、一般的には伽羅香といいますかね。この香りは酒齢の若い原酒には出ないのですが、年数が経つにしたがって強くなってくる。38年だと強烈に出てくる。ですから、ブレンドの加減でそのよさを活かしながら「響」らしく変化をさせていくようにしました。


――具体的にブレンドはどのようにするのでしょう?

輿石:目の前にある原酒の配合を少しずつ変え、何度も試していきます。地道な作業です。時にはPPM (parts per million)という小さい単位まで変えてブレンドをすることもあります。“こういう香りが欲しい”とイメージした枠内に仕上げるには、こうしたことを何度も繰り返し、確認をしていくのです。この製品ができあがるまでには1年くらいの時間が必要でした。

ロックグラスに大きめの氷を入れて楽しみたい。

――完成までに長い時間がかかっているのですね。最後に「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」の輿石さんおすすめの飲み方を教えてください。

輿石:僕はロックでいただくのが好きですね。熟成感のある甘さ、果実香を感じるウイスキーだと思いますが、この特徴はストレートでもよく感じられる一方、氷がとけて薄まっていったとしても、とても美味しくいただけるんです。もちろん水割りでも、ハイボールでもなんでも合いますよ。甘さのあるエレガントな香りが充実しているウイスキーですから、そうした部分をお好みの飲み方で楽しんでいただけたらと思います。

「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」を飲むなら「HOTEL THE MITSUI KYOTO」へ

ご紹介してきたサントリーのウイスキーづくり100年の歴史が詰まった「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」。この特別なウイスキーは限られた店でしか飲むことができない。どうせなら京都まで旅をし、蒸溜所に近い京都でじっくりと楽しむのはいかがだろうか。

HOTEL THE MITSUI KYOTO「THE GARDEN BAR」では、2024年12月20日(金)まで「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」が楽しめるメニューを期間限定で提供。

期間中、店内には日本の美意識が未来へつないでいく想いを込めてデザインされた「響 サントリーウイスキー100周年記念-Anniversary Blend-」が美しくディスプレイされた空間演出が施される。「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」のステアスタイルや、「響 サントリーウイスキー100年記念-Anniversary Blend-」を含む3種の飲み比べセットなどをオンメニュー、貴重なウイスキーを店頭で楽しめる。

THE GARDEN BAR
(HOTEL THE MITSUI KYOTO内)

住所:京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284
電話番号:075-468-3166
営業時間:11時~23時30分(ラストオーダー)
定休日:不定休

HOTEL THE MITSUI KYOTO ラグジュアリーコレクションホテル&スパ

住所:京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284
アクセス:名神高速道路「京都南I.C.」より約25分
駐車場:あり
※料金や収容台数、対応するお車のサイズについては施設へご確認ください。
EV充電:あり
※EV充電ご利用に関する利用条件・制限、利用時間、その他注意事項は施設へご確認ください。

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LEXUS LUXURY HOTEL COLLECTIONでは、お客さまに最適なホテル選びをご提供させていただくため、トヨタファイナンス トラベルデスクにてお電話での手配を承っております。
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