東京の注目店
今、改めて訪れたい。大切な人とともに美食と美酒に酔う、東京のグランメゾン
11月に入り、すっかり気分は年末モード。一年をがんばった自分や仲間をねぎらうために、とっておきのレストランを予約してみてはいかがだろうか。昨今はテーブルクロスのない軽やかなレストランも流行っているが、今、再び注目されているのがグランメゾン。よいワインとよい食事、そしてよいサービスとともに過ごす極上の時間はやはり格別だ。そんなmoment読者の思いを満たしてくれる東京の記念日レストランを3軒ご紹介しよう。
Text:Misa Yamaji
これぞグランメゾン。M.O.F.受章シェフの料理と極上のサービスを堪能「トゥールダルジャン 東京」
「ホテルニューオータニ(東京」)にある「トゥールダルジャン 東京」は、ホテルの中にありながら、まさに時空を超えてフランスにいるような気持ちになるレストランだ。
パリ最古のフレンチレストランのひとつ「トゥールダルジャン」は1582年、サンルイ島の目の前の川沿いに建てられた旅籠にルーツを持つ。
東京店では、まさにそんなフランスのエスプリを体現するレストランそのものを楽しむことができるだろう。
荘厳なインテリアは、4人のフランス人建築家が担当し440年の歴史をエリアごとに表現。
サービスの面でも、“お客さまの前で時間を気にする姿はエレガントではない”というパリ店での考え方を踏襲し、サービスマンはみな腕時計をせず懐中時計を持つ慣わしは今も続いている。
シェフは、フランス国家最優秀職人章(M.O.F.)を受章したルノー・オージエ氏が務める。
オージエシェフが作るのは、日本の四季の食材を使った、東京店だからこそ表現できる「トゥールダルジャン」の料理。
名物「幼鴨のロースト マルコポーロ」をはじめ、ロシアとの縁が深いトゥールダルジャンの歴史からヒントを得た、「ウフ・インペリアル」というオージエシェフのスペシャリテなどは必食の一皿だ。
また、サプライズの演出として大変喜ばれるのが記念日のケーキサービス。季節のケーキを可愛らしいプレゼンテーション用の台で運んでくれる。
グランヴァンを中心に約35,000本が眠るという素晴らしいフランスワインのラインアップとともに、真のフランス料理を楽しみたい。
トゥールダルジャン 東京
住所:東京都千代田区紀尾井町4-1ホテルニューオータニ ザ・メイン ロビィ階
電話番号:03-3239-3111(トゥールダルジャン 東京 直通)
ランチ:13,000円~(税込み・サ別)、ディナー:25,000円~(税込み・サ別)
営業時間:ランチ:12時~13時30分(最終ご入店時間)15時30分(閉店)
ディナー:17時30分~20時(最終ご入店時間)22時30分(閉店)(水曜日はディナー営業のみ)
定休日:月曜日、火曜日
URL:https://tourdargent.jp/
イタリアと日本が融合した洗練のイタリア料理を「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」で
銀座の一等地に立つ、ブルガリ銀座タワー。
老舗ジュエラーの脇にひっそりとあるレストラン専用の扉からエレベーターで上階にあがり、ダイニングに向かうと、突然開ける天井の高いシックな空間に思わず背筋が伸びる。ドレスアップした紳士淑女が似合う空間は、都内でも有数ではないだろうか。
エグゼクティブシェフを務めるのは、ルカ・ファンティン氏。
シェフ就任のために来日して15年。日本各地を旅し、日本の食材を深く学ぶ日々を積み重ねてきた。
ここで食べられるのは、そんな日本の四季が育む食材の魅力を、手間ひまかけて存分に引き出した料理だ。
スペシャリテの「ウニのパスタ」も、日本の鮮度のよいウニでなければ、作れなかったとファンティン氏。
一見シンプルに見える料理でも、その後ろには膨大で緻密な工程がある。そのハードワークがあるからこそ、一皿の味わいに奥行きと鮮やかな香り、そして調和が生まれる。
一口食べれば、脳内にあるイタリア料理の概念が、簡単に覆されるだろう。
「長い年月の間に日本の食材について知識がついたことで、なにが必要で、なにが余計かが明確になりました」と語るルカ氏。そう話すとおり、どの料理も非常に研ぎ澄まされた美味に満ちている。それは本場イタリアにはない、日本とイタリア、そしてファンティン氏の記憶が見事に調和したここだけの味わいなのだ。
コースの一皿一皿が、まさに地球の地層で凝縮されて生まれるジュエリーのような輝きを放っている。
バターやクリームなどは最小限にしたヘルシーで軽やかな仕立ても魅力。コース全部を食べてもちょうどよくお腹におさまるのも嬉しい。
そして、ちょっと知っておきたいのが屋上のバー。8人以上なら、事前予約で貸し切ることもできるので、特別なゲストを迎える時に相談してみるのがよいだろう。
ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン
住所:東京都中央区銀座2-7-12 ブルガリ銀座タワー9階
電話番号:03-6362-1270
営業時間:17時30 分~20時(ラストオーダー)
ディナー:30,800円〜(サ別)
定休日:日曜日、月曜日
URL:bulgarihotels.com
シェフが交代し、進化する日本のグランメゾン「アピシウス」
1983年に創業した東京・有楽町にある老舗グランメゾン「アピシウス」。moment読者の中には、特別な思い出がある人も多いかもしれない。
おそらく日本人が作ったフランス料理のグランメゾンのパイオニアとなるこのレストランは、大人の社交場として多くの紳士淑女を迎えてきた。
アール・ヌーヴォー様式の重厚な店内には、ベルナール・ビュッフェなどの名画が飾られている。これぞ“グランメゾン”な優雅な空間は、今は珍しいかもしれない。
約40年にわたるレストランの歴史を、2024年8月に「アピシウス」のスーシェフを11年務めてきた森山順一氏が、4代目シェフとして受け継いだ。
森山氏が挑むのは、“変えずに変わる”もっとも難しいチャレンジ。フランス料理の本質やアピシウスの伝統はそのままに、時代に合わせて変化を惜しまない料理を目指すという。
今ではコース料理しか選択肢がない店が多い中、「アラカルトメニュー」もアピシウスが開業から受け継いできたこだわりのひとつ。大切にするのは、料理人の“手間”ではなく、ゲストの“選ぶ楽しみ”という考えにも、ゲストファーストの姿勢がうかがえる。
例えば、名物の「小笠原産母島の青海亀のコンソメスープ シェリー風味」を味わいたい場合、通常のコースにプラスすることも可能。また、このスープを中心にサービスマンに相談しながらその日の献立を決めることもできる。
こうしたオートクチュールのスーツをあつらえるような楽しみ方ができるレストランなら、記念日をより特別なひとときにしてくれるだろう。
日本では残り少ない徹底されたドレスコードもまた、優雅な雰囲気をつくっている理由のひとつ。
もちろん、世界中から集まったワインセラーに眠る3万本を超えるワインのラインアップも秀逸だ。
アピシウス(APICIUS)
住所:東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館ビル地下1階
電話番号:03-3214-1361
営業時間:ランチ 11時30分~15時 (ラストオーダー:13時30分)、ディナー:17時30分~23時(ラストオーダー:20時30分)
定休日:日曜日
ランチコース:8,800円〜(税・サ別)、ディナー:27,060円~(税・サ別)
URL:http://www.apicius.co.jp