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LEXUS LUXURY HOTEL COLLECTION
時を旅する。近江商人の邸宅を改装した1日2組限定の宿「旅籠 八(わかつ)...」へ

大阪・京都などからクルマで行けば1時間ほどでアクセスでき、琵琶湖周遊ドライブにピッタリの滋賀県・近江八幡。近江商人発祥の地として栄え、今も歴史的・文化的背景を色濃く残すこの地は、まるで江戸時代にタイムスリップしたような気分にさせてくれる。そんな近江商人の邸宅を現代によみがえらせた1日2組限定の料理宿「旅籠 八(わかつ) ...」の研ぎ澄まされた空間で過ごす時間は、今までの旅とはひと味異なる旅となるはずだ。

Text: Yusuke Kusui
Edit: Misa Yamaji (B.EAT)

江戸時代にタイムスリップしたような地で想いを馳せる旅

琵琶湖の東岸、滋賀県の中部に位置する近江八幡。織田信長の安土城や豊臣秀次が築いた八幡山城の城下町として栄え、近江商人発祥の地でもあるこの街は、今でも歴史や文化を色濃く残す。街には、琵琶湖の商船の寄港地として整備された八幡堀が流れ、白壁を巡らせた蔵屋敷が多く軒を連ねている。

穏やかに水が流れ、ゆっくりとした時を刻み、風情を感じる八幡堀。

そんな近江八幡を象徴する八幡堀沿い、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたエリアに建つのが、1日2組限定の宿「旅籠 八(わかつ) ...」だ。

八幡堀沿いに建つ「旅籠 八...」。母屋と離れ、レストランになっている蔵、サウナなどがしつらえられた別邸よりなる。

畳商として栄えた築190年を超える旧喜多邸を改装し2020年にオープンしたこちらの宿。宿名の八には、“わかちあう”という意味があり、「近江の自然を、昔からある日本のいいところを見つけ出して、その時間をわかちあっていきたい」というオーナー吉田尚之さんの想いが随所に詰まっている。

築190年の商家を改装した、気持ちの落ち着く空間

客室は、母屋にある「石の間」と離れとなっている1棟貸しの「木の間」の2つ。特に風呂にこだわりを持ち、それぞれ独立したテーマを持って構成されている。

希少な鞍馬石をくり抜いた石風呂。古来より日本にある磐座信仰(いわくらしんこう)を想い、この浴室は造られたそうだ。

母屋にしつらえられた「石の間」。この部屋最大の特徴は、大きな鞍馬石をくり抜いて作られた石風呂だ。ここが室内なのか山の中なのか、あえて境界線を感じさせないイメージで造ったという浴室は、外に連なる庭との間にコケを生やして一体感を生み出している。

「石は、もっとも古い時代の日本を想像させます。そんな中で、自分の内側にある心と過ごし、生まれ変わることを大きなテーマにこの部屋を作りました」と吉田さん。丸くくり抜かれた石風呂は、柔らかくからだを包み込み、まるで母親の胎内にいるかのような穏やかさと心地よさを与えてくれる。

左:江戸当時の梁などを残しながらも、白を印象的に使ってモダンに造られた寝室。右:リビングは寝室とは対比するかのような、江戸当時の雰囲気をそのままにわびさびを感じさせるたたずまい。

もう一方の「木の間」は、旧喜多邸の離れに造られた2階建ての一棟貸しの部屋。当時から残る調度品や、洗練されたインテリアが程よくなじみ、心地のいい空間が広がる。和の情緒にあふれるこちらの部屋は、京都の数寄屋大工の手により現代によみがえった。

江戸以降の文化的な営みを表現した「木の間」。外の風景と同化し、身をゆだねれば、しばし時の流れを忘れてしまう。

自然と自身と向き合うような禅的な雰囲気の「石の間」に対し、外側に向かって開かれているような開放感のある「木の間」。すぐ下には八幡堀が流れ、窓の奥には八幡山を望む。四季の移ろいを肌で感じ、のんびりとした時間が流れていくなかで、その景色と同化していくのが醍醐味だ。

高野槙を使い、醤油樽を造る職人が仕立てた「木の間」の桶風呂。

お水、お米・・・そのものの味わいと対峙する特別な時間を

夕食をいただくのは蔵を改装した「溜ル(たまる)」で。ここは、江戸当時の雰囲気を大切にしながら、料理を作る様なども楽しむことができるカウンター割烹だ。

料理には、味わいだけでないさまざまな趣向が始まりから散りばめられているのがおもしろい。その第一が、ある種の緊張感を感じる店内で対峙する食材本来の味わい。極限まで明かりを落とし、静まり返った空間のなかで、初めに1杯の水と煮えばなの白米が供される。

左:蔵を改装した日本料理「溜ル」。こちらは外来利用も可能。右:この地ならではの、昔から続くレンゲ農法を用いて栽培された丸子米。

「普段よく口にする水やごはんですが、何か別のものと味わったり、携帯を見たり、会話をしたりと、分散すればそれだけ味の印象も分散してしまう。だからこそ、ここではそのもの単体に向き合って味わう時間を設けているんです」と吉田さん。

少し硬度が高いという、滋賀県の北にある伊吹山から流れる水の味、そしてオーナー自らが栽培する丸子米が炊きあがるときの瑞々しいふくよかな鼻に抜ける香り・・・。そんなわずかな違いの変化をまずは感じる特別な時間にしてほしいと語る。

メイン料理には健康的で美しい立ち姿にこだわって育てられるという、亀井牧場の近江牛を。豪快な藁焼きや、出汁しゃぶ、すき焼きなど季節の調理で。

そのあとは近江野菜、福井、石川などの日本海の海の幸や、琵琶湖のもの、そしてメインには近江牛と若狭街道(鯖街道)を思い起こす懐石料理に。コースが進むうちに徐々に照明も明るくなり、ライブ感あふれるカウンターでの調理に目を向け、いつしか会話もはずんでくる。

近江牛のしぐれ煮や琵琶湖の固有種であるビワマスの焼き物など、滋味深い味わいの朝食。

翌朝、朝食はそのためだけに用意された特別な空間でいただく。何気ない朝食、しかしそのどれひとつとっても丁寧に育て、作られた近江ならではの食や文化を感じる。まさに、素朴のなかの贅沢を味わうことができる。

身も心も空っぽにしてくれる、薬草サウナ

そして最後に紹介したいのが、母屋と同時代に建てられた土蔵を改修した「別邸 九.(ここのつ)」。

80度ほどでからだの芯をじっくりと温めていく「醸し風呂」。自家栽培した薬草などを使ったアロマ水でロウリュウもできる。

こちらで体験したいのが、1日1組限定のサウナだ。ドライサウナと日本古来の蒸し風呂の間のようなサウナで、こちらでは「醸し風呂」と呼んでいる。

“醸す”とは、お米から日本酒に変化する様。水分量が多い低温のサウナで、自らを発酵させるかの如くじっくりと蒸されれば、日ごろのストレスも一気に流れていくことだろう。

古備前の大きなかめに井戸水を循環させた水風呂や、城下町の瓦屋根などを見ながら整える外気浴スペースなどもある。

江戸時代にタイムスリップしたような街歩きを楽しみ、サウナに癒され、時の移ろいを感じながら、心を無にしたような時を過ごす特別な休日。

翌日は少し遠出をするのもいいだろう。田園風景や里山を感じながら、信楽までのドライブ、琵琶湖を周遊するのもいい。京都にだって1時間ほどで行けてしまう。名所や絶景などを巡る既存の旅や、何度も京都を旅してきた人でも、新たな楽しみが見つかる。そんな宿だ。

旅籠 八(わかつ)...

住所:滋賀県近江八幡市玉屋町6
電話番号:0748-36-2745(宿泊予約)
アクセス:名神高速道路・竜王I.C.から車で約20分
駐車場:あり
※料金や収容台数、対応するお車のサイズについては施設へご確認ください。

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