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LEXUS LUXURY HOTEL COLLECTION
100平米超えの客室に宿泊し、伊勢志摩の豊かな食と絶景を味わう「志摩観光ホテル ザ ベイスイート」

1951年に戦後初の洋式リゾートホテルとして誕生した「志摩観光ホテル」。村野藤吾が設計したこのホテルは英虞湾の絶景を望む地で国内外のVIPを迎えてきた。2008年には全室100㎡を超えるスイートルーム50室からなる「志摩観光ホテル ザ ベイスイート」が誕生し、2016年のG7サミットで各国の首脳が宿泊した。そんな世界に誇るホスピタリティと、美食家たちを唸らせる「伊勢志摩ガストロノミー」、そして絶景を味わえる日本屈指の名宿を紹介しよう。

Edit&Text: Misa Yamaji(B.EAT)

国内外の賓客から愛される名宿

伊勢自動車道をクルマで走り、伊勢西I.C.を降りて伊勢道路を走ること約40分。入り組んだ半島が穏やかな海を抱いているような英虞湾を眺めながら橋を渡れば賢島だ。ほどなく走ると、景観に溶け込むように建てられている「志摩観光ホテル」に到着する。

開業は1951年。賢島を含む志摩エリアが伊勢志摩国立公園に指定され、真珠の買い付けの外国人ビジネスマンも多くなってきた時代のことだ。

周囲の景観に溶け込むように建てられたホテル。右奥の建物は「ザ クラシック」。

志摩観光ホテルには「ザ クラシック」、「ザ ベイスイート」の2つの宿泊棟がある。1951年開業時の建物「ザ クラシック」の設計は昭和を代表する建築家・村野藤吾が担当。英虞湾の絶景を望む客室や、ホテル全体のゆったりとした空気感は、昭和天皇をはじめ多くの皇族や財界人・文化人たちの心を掴んだ。特に、作家・山崎豊子氏はこのホテルを心から愛した。英虞湾に沈む壮大な夕日から、「華麗なる一族」の冒頭の文章が生まれたというエピソードはあまりにも有名だろう。

館内は、何度か改装をしているものの70余年経った今もまったく古さを感じさせない。

スーペリアスイートの部屋。テラスからの風が気持ちいい。

全室100㎡以上。ラグジュアリーを極めた新館

2008年に誕生した「志摩観光ホテル ザ ベイスイート」は総工費約48億円を投じて建築されたラグジュアリーな別館だ。全50室が、リビングとベッドルームからなるスイートルームで、開け放つことができる大きな窓からは英虞湾を一望できる。

客室面積は約100~200㎡。国内のリゾートホテルでは最大級の広さを誇り、厳選された家具が品よく配置されている。「ザ ベイスイート」は志摩観光ホテル内に誕生した別のスモールラグジュアリーホテルといえる。

目の前に見えるのは英虞湾。海を眺められるホテルは日本全国あれど、独特のリアス海岸による“半島美”は、なかなかほかでは味わえない美景だ。

「eau SPA」のペアルーム。

館内にある大浴場、サウナは「ザ ベイスイート」宿泊者のみが利用可能。ホテルのスパ「eau SPA」も「ザ ベイスイート」内にある。

ここでは天照大御神の伝説が残る“天の岩戸”から汲んできた湧き水を使用したおもてなしや、伊勢という土地のエネルギーを感じるシグニチャーメニューが楽しめる。そのほか、骨格や筋肉量に合わせた深いプレッシャーでからだをほぐすメニューなどもおすすめだ。

早めにホテルに到着し、まずは大浴場とサウナで温まってから、スパの施術でリラックスするのもいいだろう。

ベイスイートのラウンジ。目の前には英虞湾が。©️Kenji Kudo

ディナーの前は、英虞湾を眺めながらラウンジでアペリティフを楽しむのもいい。ラウンジではワインなどのアルコールのほか、お茶やジュース、カナッペ類などの軽食を楽しむことができる。

夕方にかけて刻々と色を変えていく海を見ていると、あっという間に時間が経ってしまう。

作家・山崎豊子氏がこよなく愛したという荘厳な夕日。©️Kenji Kudo

サンセットタイムには、屋上の庭園まで散歩してみてほしい。入り組んだ半島に真っ赤な夕日が落ちていく様を見ることができる。陸地がだんだんと暗くなり、海が赤く染まる。ドラマティックなショーを見れば、志摩観光ホテルへの再訪を誓いたくなるはずだ。

滞在のクライマックスはディナーにやってくる

さて、こちらに宿泊したなら、館内のフレンチレストラン「ラ・メール」でのディナーを楽しみたい。

開業以来、ホテルの名声を高めたのが伊勢志摩の食材をふんだんに使った「海の幸フランス料理」だ。ここでは、ホテルで食事をすることを目的に宿泊するゲストも非常に多い。

長く受け継がれている名物の「鮑ステーキ」や「伊勢海老クリームスープ」のファンは、きっと読者のなかにもいるだろう。

「ラ・メール」のダイニングルーム。 ©️Kenji Kudo

現在ホテルの総料理長を務めるのは樋口宏江氏。2016年のG7サミットの晩餐会で陣頭指揮をとった人物だ。ちょうど「ザ ベイスイート」がオープンした2年後に総料理長に就任した。

以来、本館の「ラ・メール ザ クラシック」はホテルが受け継いできた伝統の「海の幸フレンチ」を提供する場所と位置付け、「ラ・メール」はそこから進化した現代の「伊勢志摩ガストロノミー」を楽しめるレストランとした。

この日のコースの一品「ぬちぐすい」。沖縄で開催されたDINING OUTの招致シェフとなったときに作ったメニューを三重県の新鮮な野菜を中心に再現。

「伊勢志摩ガストロノミー」は、伊勢志摩に根付く「神人共食」という考え方にも通じている。

「神人共食とは、解釈を深めれば土地が育んできた食材を、大切にいただくことにつながっていると思っています」と語る樋口氏。すなわち樋口氏が考える「伊勢志摩ガストロノミー」には、海女漁の歴史とともに名物となった“鮑”や“伊勢海老”のみならず、地域に眠る素晴らしい食材を掘り起こし、新たに伊勢志摩をはじめとする三重県全体の豊かさも伝えていけたら・・・という思いが詰まっているのだ。

「奥伊勢スタージョンのひとさら」。

こうした料理への思いは、生産者とのコミュニケーションも欠かさない樋口氏が感じる海の変化から生まれている。特に絶対的な名物である鮑や伊勢海老などの漁獲量減は深刻だ。「5年後には、地元の鮑や伊勢海老を料理するのが難しくなるかもしれないと思うほどです」と危機感を口にする。

昔からこの地では豊かな自然が育む恵みを神に感謝し、命をいただいてきた。そんな土地で料理をしているからこそ未来につなげ守るための思いは人一倍強いのだろう。今まで知られていなかった食材を積極的に使用し、命を大切にし、魅力的な料理は新しい発見に満ちている。

例えば、「奥伊勢スタージョンのひとさら」は奥伊勢で育てられているチョウザメの身を使った一品だ。チョウザメはキャビア生産のために育てられているのだが、ここではあえて身を使うのだという。

「チョウザメの身が淡白で美味しいことはあまり知られていません。チョウザメの骨でとった出汁はうまみも濃いんですよ」。なるほど、品のいい鰹出汁のような出汁をかけたチョウザメの身は、しっとりと柔らかくなり、うまみの濃い出汁を含んで口のなかで解けていく。スモークしたチョウザメはまるで生ハム。宮川のワサビオイルがキリッと全体を引き締める。

コースの一品「伊勢海老のソテー ヴァンブランソース キウイを添えて」。

また、実は柑橘をはじめとする果物にも恵まれた三重県。キウイ農家の方と出会い、美味しいキウイに出合った樋口氏が、キウイを主役として考えたのが伊勢海老を合わせた一品だ。

キウイの酸味が、伊勢海老の身の甘みをぐっと引き立てる。キウイは丸ごと揚げることでパリッとさせた皮も美味しく食べられる。思いがけない組み合わせだが、これが非常によく合う。

こうした“新しい発見”に満ちた「ラ・メール」の料理は、訪れた人の記憶に鮮やかに刻まれていくのだ。

ダイニングルームから穏やかな英虞湾の様子を見ながら朝食を。

食の楽しみは、翌朝も続く。

「ザ ベイスイート」宿泊者の最後のお楽しみは、「ラ・メール」での朝食だろう。朝日に輝く英虞湾の海を眺めながら、軽いコース仕立ての朝食をゆっくりいただくのは、「ザ ベイスイート」宿泊者だけに許された特権だ。

朝食の一例。

まずは、地元の生産者から届く新鮮な果物とヨーグルトを一口。その後、敷地内で摘んだハーブを使ったハーブティーを飲めば、起きたてのからだにエネルギーが満ちていくのがわかる。旬の野菜を使ったスープが美味しいのはいわずもがなだ。

卵料理は、風味豊かなアメリケーヌソースがかかったエッグベネディクト、海の幸のオムレツ、海の幸のグラティネから選択。おすすめは鮑入りのグラティネだ。朝から本格的なフランス料理のテクニックを使った小さな一皿は、非常に贅沢な気持ちにさせてくれる。

志摩観光ホテル ザ ベイスイート

住所:三重県志摩市阿児町神明731
アクセス:伊勢自動車道・伊勢西I.C.から約40分
駐車場:あり
※料金や収容台数、対応するお車のサイズについては施設へご確認ください。
EV充電:あり
※EV充電ご利用に関する利用条件・制限、利用時間、その他注意事項は施設へご確認ください。

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