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福岡の注目レストラン
極上のA.O.Cワインとイマジネーション豊かな料理が待つ、福岡の隠れ家レストラン

寿司や鍋料理などのイメージが強い福岡だが、実は大人がわざわざ足を運びたくなるようなデスティネーションレストランも充実しているのをご存知だろうか。今回ご紹介する「Restaurant Aréna(レストラン アレナ)」は、美味しいものを熟知したグルマンたちが何度も足を運ぶ隠れ家的ガストロノミーレストラン。新店が続々と誕生する福岡で、フレンチ好きの心を掴んで放さない名店だ。

Photo: Katsushi Takakura
Text: Chie Nakano (Fe)
Edit: Misa Yamaji (B.EAT)

エネルギッシュな博多の繁華街にたたずむ至福のサンクチュアリ

大通り沿いにある、さりげないエントランス。
ワインは「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)や、「コシュ・デュリ」「アルマン・ルソー」など錚々たる品揃え。フランスにもセラーをキープし、ストック数は1,000本以上。

福岡の中でも特に昔からツウ好みの大人が集う名店エリア・西中洲。「Restaurant Aréna(レストラン アレナ)」は、ともすれば大通り沿いの喧噪に見失いそうになるほどさりげなくたたずんでいる。

まず目に入るのはフランスA.O.Cワインだけを集めた圧巻のワインセラーだろう。その数、なんと500本以上。オーナーシェフの有馬亮さんは2012年から渡仏し、パリの「パッサージュ53」「シュール・ムジュール」、ブルゴーニュの「メゾン・ラムロワーズ」などミシュランガイド星付き店で研鑽を積んだほか、ワイン産地として初めて世界遺産に登録されたサンテミリオンのシャトーでも学んだ経歴の持ち主。滞在中から今に至るまでA.O.Cワインをコレクションしつづけてきたという。

錚々たるラインアップ。事前にリクエストしておけば、ゲストの好みに合わせたワインをプレゼンテーションしてくれる。

ワインメニューにペアリングは用意していない。その代わり、最大6名のためにバイザグラスが常時10種類も用意され、ソムリエの伊藤治美さんがベストなコンディションで提供。好みや飲み進めるスピードなど、ゲストに寄り添うスマートなサービスを徹底しつつ、嬉しい誤算に出合えるようなワインも提案する姿勢は、ワイン好きのゲストから厚い信頼が寄せられている。

食材へのオマージュが感じられるタイムレスな料理

冷たいフォアグラのアイスが口の中で溶け、ソースの香りとともに開いていく「ラムレザン」。

全10皿構成のコースは、1皿目「Avec Champagne」(シャンパーニュとともに味わう一品)、2皿目「雨がもたらす恵み」(地上の野菜を使った料理)、3皿目「土や大地」(根菜を使った料理)といった具合にテーマが設けられ、料理に合わせて一皿一皿に“詩”のようなネーミングがつけられている。

最初にサーブされるのがフィンガーフード「ラムレザン」。アーモンドパウダーのビスキュイでフランス産フォアグラのアイスをサンドしたシグネチャーだ。フォアグラと相性のよいラムレーズンやフランボワーズのソース、ハチミツが口のなかでひとつになり、キリリと冷えたシャンパーニュと素晴らしいマリアージュを奏でる。甘美なプロローグに胸が高まることだろう。

ベルモットとフヌイユのソースやマイクロセロリのサラダを合わせて。巧みなハーブ使いが光る。

本日の魚料理は、静寂に包まれた冬の磯風景をテーマにした「Ciel Pale(淡い空)」。磯の香りがふわっと広がるクエの火入れが絶妙で、身はふっくらとし、皮目はパリパリの食感だ。うまみの強いクエに牡蠣を合わせて深みを出し、水晶文旦の爽やかな酸味がアクセントになっている。

伊藤さんはブルゴーニュへ2度の留学経験をもつシニアソムリエであり、お店の世界観を伝えるストーリーテラー。

料理は1秒を惜しむかのように出来立てがサーブされ、目の前に現れたプレートからは幾重にも重なる香りが放たれる。そのタイミングで伊藤さんの流暢な料理説明が始まり、料理への期待値がぐっと押し上げられていく。さりげなくも温かく、本質を極めたサービスを受けられるのもリピーターが多い理由だ。

仕込みから盛りつけまで、すべてをひとりで行う有馬シェフ。

有馬シェフが一皿一皿に込めたストーリーやメッセージを感じながら、料理をいただくと、時間の流れと比例するように高揚感が膨らんでいく。

席から厨房は望めないが、まるでプレートを通じてシェフと対話しているような感覚に・・・。この店の料理にはそんなチカラがある。

繊細な味わいを引き出すべく、マドラスをアクセントにエストラゴンのソースを合わせて。

「Une...(ユヌ)」と名付けられた本日の肉料理はホゲット。ラムとマトンの中間、つまり乳飲み仔羊が草を食べ始める頃という極めて短い期間のホゲットは、ラムのミルキーさと草の香りがするマトンの両方の特徴を備えた繊細な味わいだ。

栄養素の高い餌と恵まれた環境で羊を肥育する九州の生産者との縁で、わずかな量を仕入れられたことから、オマージュを込めて料理名はフランス語で「1」を表す「Une...(ユヌ)」。“オンリーワン”“一期一会”というダブルミーニングで名付けられている。

馥郁たるソースの香りを感じながら、ホゲットを口にするとその柔らかさとうまみのインパクトに驚く。さらに、ソースをつけ、ハーブを添えてと食べ進むうちに味の変化が楽しめ、その都度ワインとのマリアージュも変化していく。フランス料理の確固たる伝統を継承しつつ、九州らしいテロワールも感じられるタイムレスなフランス料理を味わえるのがこの店の醍醐味なのだ。

芸術に触れ、日々磨いた感性を料理へと昇華

「フランスらしいフランス料理を提供したい」と有馬シェフ。

一皿目の「ラムレザン」から最後の「ショコラをモチーフにしたデセール」まで、渾身の10皿をいただくと、まるで素晴らしい音楽を聴き終えたような感覚に。それもそのはず、実は有馬シェフは昔、映画音楽の作曲家を目指していたとか。機材を揃えるためにフランス料理店でアルバイトしたことが料理界に入るきっかけとなったというが、その豊かな感性や知性は、日々プレートの上に表現されている。

メニューには料理名と使われた素材だけが記されている。裏はバイザグラスのワインリスト。

そんなバッググラウンドもあるのだろう。有馬シェフは料理の組み立てやインスピレーションを絵画や音楽、風景や季語などから得ることが多いのだとか。

「例えばモネの『散歩・日傘をさす女』を見ると少し冷んやりとした空気感やハーブの香りを感じますし、チャイコフスキーの『白鳥の湖』を聴くと冷たいバニラの香りやなめらかな質感が伝わってくる。そういう感覚を料理に落とし込めたらと思っています。ボツになる料理も多く、日々トライアル&エラーの繰り返しですが、概念を具象化するプロセスを大切にしたい」と有馬シェフ。

シンプルを極めた店内で料理とワインの素晴らしさに浸れる。

店内には絵や花などはなく、温度も色も感じない無機質な空間だが、それだけに料理から感じられる有機的な“生命力”が際立つ。

素材の持つ生命力を活かし切る料理と、土壌や製法にこだわったA.O.Cワイン、そしてともに訪れる人との楽しい会話・・・、ここで過ごす時間は「フランス料理を存分に堪能した!」という格別な満足感を約束する。

感動を分かちあえる「アレナ」(=舞台)での時間は、一緒に訪れる大切な人との距離感をぐっと縮めてくれることだろう。

Restaurant Aréna(レストラン アレナ)

住所:福岡市中央区西中洲10-3 Nビル1F
電話:092-406-4437
URL:https://www.r-arena.com/
営業時間:18時~23時(ラストオーダー22時)※コース所要時間3~4時間
休日:不定休

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