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沖縄の離島で出合った、驚きのガストロノミック・レストラン「6 SIX」(シス)

名古屋で予約の取れない人気店を営んでいた店主が、沖縄・古宇利島に移住し店をかまえたのが2018年のこと。ひっそりと営業を始めていたが、沖縄らしいコバルトブルーの海を眼前にした絶景を眺めながら、驚きの美食体験ができると、グルマンたちの間でジワジワと人気に火がついた。離島という場所ながら、今や国内外からの予約が絶えないという噂の店を訪ねた。

Text & Photo: Misa Yamaji (B.EAT)

橋を渡った先にある美食の楽園

「古宇利島に、ものすごいレストランがあるらしい」そんな噂がグルマンたちの間で流れ始めたのがコロナ明けの2022年の頃だっただろうか。

那覇からクルマで1時間半強。恩納村エリアのホテルに泊まっても1時間弱かかる島に、ぽつんと一軒ガストロノミックなレストランがあるのだという。その名は「6 SIX」(シス)。決して行きやすいとはいえない場所にもかかわらず、訪れた人は皆、夢を見つづけているかのようにここで過ごした体験を熱く語るのだ。

古宇利島から沖縄本島を眺める。古宇利大橋が美しい。

そんなすごいレストランがあるなら、一度訪ねてみたい。そう思って一路沖縄へ飛んだ。
実際に「6 SIX」(シス)を訪れてみて、皆が虜になる理由がよくわかった。そこで待っていたのはまさに魔法にかけられたような体験だったのだ。

まず、離島に立つ小さなレストランの入り口は店のドアではない。本当の入り口は、夢の世界と現実世界の境界となる古宇利大橋だ。ゲストは、ここで最初の魔法にかけられてしまう。

クルマで向かう途中に現れる古宇利大橋に歓声をあげない人は一人もいないだろう。そこから始まるのは、コバルトブルーの海の上を飛んでいるような体験だ。その気持ちよさはこの場所でしか味わえない。

高揚感とともにクルマを走らせれば、まっすぐに続く橋の先にあるレストランへの期待はいやがおうにも高まるだろう。きっとそこにはまだ知らない素敵な体験が待っているはず。そんな確信を持って皆、島に上陸するのだ。

ダイニングからの絶景。この景色とシャンパンを楽しむためにも、ディナーは早めの時間の予約を。

待っているのは、想像を超える体験

この“魔法のレストラン”といいたくなる「6 SIX」(シス)のオーナーシェフは小杉浩之氏という人物だ。その名を聞いて、名古屋に住んでいるレストラン好きの方ならピンと来るかもしれない。

小杉氏は、2008年より名古屋で「フランス料理シェ小杉」を経営。その後自店を「イレテテュヌフワ(Il etait une fois)」へとリニューアル。生まれ変わった店は少量多皿の料理を出すスタイルが人気となり、8カ月先まで予約が取れないほど人気となった。

店は順調だったが、小杉氏は子どもが生まれたことを機に、妻の実家がある沖縄へ移住。昔訪ねて感動した古宇利島に縁ができ、2018年にレストランをオープンした。

沖縄の郷土料理そうめんチャンプルーをフィンガーフードにした前菜の一品。

しかし、開業当初はまったく予約が入らずに苦しい時期もあったと小杉氏は話す。

もう、無理かと思ったときにコロナ禍で海外に行けないグルマンたちが沖縄に来たことで状況が好転。予約が少しずつ入り、口コミで一気に人気に火がついた。そして今や離島にもかかわらず多くの人が訪れる人気店となった。

少量多皿というスタイルは、名古屋時代からもう一段進化。沖縄の食材も積極的に使い、沖縄料理から発想を得た料理なども登場する。しかし、“沖縄らしさ”というのはそこまで重要ではないという。それよりも、小杉氏の根底にあるのは、常に「人を喜ばせたい」という気持ち。遠くの沖縄の離島に来てもらうからには満足して帰ってほしいという思いで、驚くほどの労力をひとつのコースにかけている。

前菜の一部。ここには並ばないサプライズの前菜がこのあとに続く。

圧巻は最初の前菜だ。登場するのは13種類前後。次々に目の前に並ぶ料理に、テーブルからは歓声があがる。

料理が載せられている器ひとつひとつも楽しい。作家ものから、豆の殻やサボテンの葉などを器に見立てたものまでがテーブルを埋め尽くす。小杉氏は子どものように自由な発想で、心から料理を楽しんでいるのだろう。

もちろんこれらの料理は見た目だけではない。丁寧に作られた料理は、ひとつずつ味の構成も方向性も違い、それぞれにきちんと美味しい。そんな色とりどりの前菜は、再び刺激的な魔法をかけてくれる。食事を進めるごとに、本当は存在しないおとぎの国の食卓に招かれているような気持ちになるのだ。

コース料理の一皿「シマアジのタルタル」。

美しい海を思わせる皿に盛りつけられたのは、お菓子・・・ではなく、シマアジのタルタルだ。花のようにかたどられているのは、10種類の自家製野菜のパウダーに彩られた大根。ウコンやセロリ、レッドキャベツなどの自然の色素を活かして自家製のパウダーを作り、それをまぶすことで南国らしいビジュアルに仕上げている。その下に、グリーンオリーブなどを混ぜ込んだ、シマアジのタルタルが隠れている。

コースは13種類の盛り込み前菜以外に、料理が7品。そのあとに17種類前後のデザートという構成。このデザートの数々もまた軽く想像を超えていた。最後の打ち上げ花火のようなインパクトで食事を締めくくった。

その内容をひとつずつ詳しく説明したい気持ちでいっぱいだが、ここではあえて紹介しないことにしよう。ぜひ現地を訪ねて自分の目で見て味わって、楽しい魔法にかけられて欲しい。

6 SIX(シス)

住所:沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利499-1
電話番号:0980-56-3733 *予約はホームページから
コース料金:昼夜ともに27,500円(税込み)
URL:https://six-kouri.com/
駐車場:あり

「6 SIX」(シス)に行くなら、LEXUS LUXURY HOTEL COLLECTIONのホテル予約を

●テラスクラブ:https://tscubic-travel.com/llhc/slh/articles7/
●ハイアットリージェンシー瀬良垣:https://tscubic-travel.com/llhc/hyatt/articles9/
●ハレクラニ:https://tscubic-travel.com/llhc/lhw/articles4/
●リッツカールトン沖縄:https://tscubic-travel.com/llhc/marriott-brands/articles4/

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