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Yokota's Golf Lesson Series
横田英治の『ショートゲームを極める。』VOL.6~状況別アプローチ(4)~「52度で確実にボギー」か「58度でパーに挑む」か~

スコアメイクの重要なカギを握るのがグリーン周り。OK圏内に寄せられるか、長いパーパットを残してしまうのか。そんな状況は18ホールで何度も訪れ、トータルで見ると数打の違いとなるのだ。スコアアップのためには避けて通れない、アプローチショットの確率を上げる極意を横田英治プロに教わっていく。第6回は、「確実にボギーで上がるか」、それとも「果敢にパーを狙うか」の決断が試される難しい状況での2つの攻め方を考える。

撮影協力/船橋カントリークラブ

打つ前の「決断」が最重要

セカンドショットはいい当たりだったのですが、グリーンをオーバーしてしまいました。こういうケースでは、「砲台グリーン」「やや上り傾斜」「ピンを過ぎると下り」という「グリーン周りの難しい3点セット」になりがちです。

①砲台グリーン、②上り傾斜、③ピンを過ぎると下り。グリーン奥から寄せるにはタフな状況が重なり、横田プロ曰く「難しい3点セット」

ピンに寄せるには58度でボールをフワッと上げて止めるアプローチが求められますが、決断力と勇気が必要なショットです。

そしてもう1つ、52度で転がすという考え方もあります。これは決して消極的な戦略ではなく、「グリーンにボールを止め、次打をパターで打つ」、すなわち2パット以内で上がるという狙いです。

対して前者は、「まだパーを諦めていない」。この2つの考え方には明確な違いがあり、まずどちらを選ぶかを決断することが重要なのです。

52度を持っているのに「あわよくばパー」と欲張ると、落としどころを狙いすぎたあまりにグリーンに乗せられず、ダボになる可能性すら出てきます。
「確実にボギーを取る52度」と、「パーのチャンスをうっすら残す58度」。いずれかの決断をしたうえでショットに臨みましょう。

DECISION.1 「52度でダボを打たない」

「ダボはなんとしても回避したい」。そう決断したときに選ぶクラブは52度です。
ピンを過ぎると下りになる状況を考えると、グリーンに直接ではなく、グリーン手前のラフにキャリーさせたい。なので、ボールの勢いがラフに負けないように、58度よりロフトの立った52度を、さらに①フェースをスクェアよりも少し被せてロフトを若干立たせます。
そして、②少しインサイドアウト軌道で打ちます。

この2点はいずれもボールのスピン量を減らすための作業です。フェースを開いてアウトサイドインのカット軌道だとスピンが入りやすくなり、ボールの推進力が弱まってしまうので注意しましょう。

ボール位置は、左に置きすぎるとインサイドアウト軌道では自分の足にあたってしまうので、体のセンターよりやや右です。

インサイドアウトに打つために、スタンスはオープンにします。
クローズスタンスだと上半身も下半身も右を向くことになり、ボールはターゲットよりも右に飛んでしまいます。
なので、上半身は右、スタンスは左に向けることで、体全体としての方向性を合わせるのです。

ボールをやや右に置き、フェースを少し被せてインサイドアウトに振る。そのままだとボールが右に飛ぶので、スタンスはオープンにして出球を調整する

スウィングについては、これまでのベーシックな打ち方と同様、「胸骨を動かす」が鉄則です。胸の面を動かしながらインサイドアウトに打って、ボールを操ることを意識してください。

手先ではなく、胸骨を動かすことを意識する

このアプローチショットがうまくいった場合、ボールは転がってピンを過ぎ、ティーイングエリア側から見るとピンの手前に止まる確率が高くなります。
上りのパターが残りやすいので、ダブルボギーの確率はぐっと減ります。

また、「ボールがグリーンに残れば成功」と考えると、落としどころにそれほどシビアにならなくてもいいのも、アマチュアの方にはメリットになるはずです。

グリーンに止まればOKなので、落としどころにそれほどシビアになる必要がない

DECISION.2 「58度でパーに挑む」

ピンに寄せるのは難しい状況ですが、「チャレンジしたい」という”遊び”を持つ方向けの決断です。

ボールをしっかり上げたいので、使用クラブは58度。
これまで52度や58度によるショットを紹介してきましたが、今回はかなりトリッキーなショットになるので、いくつかシステムが変わります。

まず、フェースはしっかり開きます。
そして、開いたフェースを、ボールに当たる瞬間にはスクェアに近い状態にしたい。なぜなら、フェースが開いたままで当たるとシャンクが出たり、ボールが右に飛んでしまうからです。

開いた状態で下りてきたフェースが、最下点でスクェアになり、その後は閉じていく。これがスウィング中におけるフェースの動きですが、今回のように最初に開いたフェースは、最下点でもまだ開いています。

なので、フェースがスクェアに戻る位置でコンタクトできるように、ボールは真ん中よりやや左寄りに置きます。
スタンスはほぼスクェアでOKです。

開いて構えたフェースは、最下点を過ぎてスクェアに戻るのでボールを左寄りに置く

スウィングで注意したいのは、「ボールを飛ばすスピードで自分が動いてあげる」意識を持つことです。
どういうことかというと、「小さく」「速く」ボールを飛ばしたいときは、体も小さく構えてクラブを速く動かします。今回のショットは、「大きく」構え、胸骨を「ゆっくり」大胆に大きく動かすことが求められます。

「胸の動くスピード=ヘッドのスピード」です。
胸がゆっくり大きく動けば、ヘッドもゆっくり大きく動く。
胸が小さく速く動けば、ヘッドも小さく速く動く。
胸の動く速さでヘッドスピードをコントロールするのです。

胸を動かすうえで、とくに重要なのがバックスウィングです。
先ほども言ったように、トリッキーなショットなので、ミスを恐れるあまりバックスウィングが小さくなりがちです。
小さいバックスウィングからダウン以降で胸を大きく動かしていくと、スウィングのセンターが左にズレてトップしやすくなります。

スウィングが小さくても大きくても、胸の動く量は後ろ(バックスウィング)と前(ダウンスウィング)が同じというのが基本であり、理想です。

ダウンスウィングだけでなく、バックスウィングでも大きく胸を動かして振っていく

短い距離で胸を大きく動かすのですから、勇気も決断力もいるショットです。結果の成否を握るのは、技術的なことよりも、勇気があるかどうか。
仮に今回はうまくいかなくても、「あそこに落ちてこう行くかな」「ここに落としてこう行きたいな」と想像することは、次回のためにとても大事です。アマチュアの方は「そんなレベルじゃないんですよ」とよく言いますが、”そんなレベル”になるために、今イメージしてほしいのです。自分が何をしたいのか、イメージをしたうえでショットに臨まないとレベルアップにつながりません。

思った通りに打てても寄らない・乗らないこともあるでしょう。その場合でも、「イメージ通りに落ちたけど、ボールが止まらなかったので、今のイメージは間違っていた」。それを学んだことで1歩成長できるのです。
ときには、遊びのつもりでこうしたトリッキーなショットにチャレンジすることもおすすめします。

横田英治(よこたえいじ)
1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまでに多くのプロ・アマチュアゴルファーにレッスンを行っている。2022年6月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」をオープン。レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。なお、横田プロ自身もレクサスユーザーで、RXを愛用している。

PRESENT

会員制ゴルフサロン「クラブハウス」の体験レッスンを希望される方3名(先着)に、グラファイトデザインのスウィング練習器具「アライメントスティック」2本セット(非売品)をプレゼントします。クラブハウス(TEL043-441-5466 担当・小内氏)までご連絡下さい。

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