図書館で味わう、大人の静かな楽しみ
大人になった今こそ行きたい。知欲を満たす図書館3選
ひと昔前までは、“本を借りる場所”、“静かに本を読み、勉強をする場所”というイメージだった図書館が、今劇的に変化しているのをご存知だろうか。カフェが併設されていたり、美しい建築を楽しむ場所であったりと、滞在や体験を通したサードプレイスとして進化している。大人になった今こそ、改めて図書館を訪れたい。そこには知欲を満たしてくれる特別な空間や体験が待っているはずだ。
Text:Yusuke Kusui
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)
名建築の中で、村上春樹の世界に浸る
早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)【東京都・早稲田】
小説家、翻訳家である村上春樹氏から寄託・寄贈された、執筆関連資料や書籍(初版本を含む)、翻訳本を展示する、「早稲田大学 国際文学館」(村上春樹ライブラリー)。地上5階・地下1階からなる建物は隈研吾氏によりリノベーションされた。地下1階と1・2階は公開されており、一般の方でも自由に行き来できる。
エントランスを抜けると、まず現れるのが地下へと続く「階段本棚」。“井戸”など地下へと潜ることは、村上文学にとって、日常と非日常の境界であり、意識の深層へ降りていくための通路だ。ここを下りることで村上春樹氏の世界へとどっぷりと浸かっていくことができる。
階段を下りた先には、書斎を再現した「村上さんの書斎」や、飲食も可能なラウンジ、そして村上氏が作家デビュー前に経営していたジャズ喫茶にちなんだカフェがある。文学の前に、村上春樹氏の世界観・感性までもが体験できるのが特徴だ。
2階は、さまざまな企画展やワークショップなどが開かれる交流の場に。そして1階は、村上文学をくつろぎながら体験できる空間が待っている。
「ギャラリーラウンジ」には初版本の展示をはじめ、著作と50以上もの言語に翻訳された作品など、約2,300冊が並ぶ。そしてその隣には、村上氏がコレクションしていた珠玉の音楽を聴きながら読書ができる空間。お気に入りの場所を見つけて村上文学に没入できるほか、読む場所によって本の印象が変わるなどの体験ができるのも特徴だ。
早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)
住所:東京都新宿区西早稲田1-6-1 4号館(早稲田大学早稲田キャンパス構内)
電話番号:03-3204-4614(受付カウンター)
開館時間:10時~17時
休館日:水曜ほか
アクセス:JR山手線・西武新宿線「高田馬場駅」(早稲田口)から都営バス(学02系統)「早大正門」行き 終点下車 徒歩約2分、東京メトロ東西線「早稲田駅」徒歩7分、都電荒川線「早稲田駅」徒歩5分
駐車場:なし
URL:https://www.waseda.jp/culture/wihl/
※開館日については、事前にホームページのカレンダーをご確認ください。
※本の貸し出しはできません。
※予約不要・入館無料(ただし21名以上の団体は要予約)
地中の中で偶然の本との出合いがある
地中図書館【千葉県・木更津】
千葉県木更津市にある、約30ヘクタールという広大な敷地の「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」。農業・食・アートを軸にした宿泊も可能なサステナブルファーム&パークだ。この施設内にあるのが「地中図書館」。その名のとおり、地中に埋もれているような感覚になる、何ともユニークな図書館だ。
“微生物が植物を育むように、本が養分となり、読み手の支えになるように”とのコンセプトでつくられた。選書家の川上洋平氏による3,000冊を超える本は、自然や農的なくらしに関するものを中心に、詩や哲学、歴史、科学、経済にも広がる。ここに来れば、思いがけない出合いやひらめきが待っているはずだ。
そして、こちらの図書館の最大の特徴が、周りが農場や牧場、緑豊かな自然に囲まれていることではないだろうか。本を借りたり、館内から持ち出したりすることはできないが、途中で自然豊かな敷地内の散策や畑での農体験などもでき、頭のスイッチを切り替えることができる。そうすることでまた新しい本との出合いにつながる。
地中図書館
住所:千葉県木更津市矢那2503 KURKKU FIELDS内
電話番号:0438-53-8776(KURKKU FIELDS代表)
営業時間:12時~17時(宿泊者は17時~翌11時も利用可能)
休館日:火曜・水曜(祝日は営業/振替休日を設けます)
アクセス:館山自動車道・木更津北I.C.から約15分
駐車場:あり(350台)
URL:https://kurkkufields.jp/experience/library/
※ご利用には「KURKKU FIELDS MEMBERSHIP」への登録と予約が必要です。
※本の貸し出しはできません。
“知の殿堂”として、昔も今も大阪を見つめつづける
大阪府立中之島図書館【大阪府・中之島】
堂島川と土佐堀川に挟まれた東西約3kmの中州・中之島。古くから商都大阪の中心地として栄え、今も行政・経済・文化施設が集中するシンボルアイランドだ。その中で、ひと際重厚で気品あるたたずまいの「大阪府立中之島図書館」。1904年(明治37年)住友家の寄付により建設され、当時「大阪図書館」と命名された。その名残が今も正面玄関に残る。
外観はルネッサンス様式、内部空間はバロック様式のデザインを基本とした格調高い建物。中央階段を上り館内に入ると、大階段を備えた吹き抜けのホールが広がり、ドーム型の屋根からはステンドグラスを通して、柔らかな光が差し込んでくる。
蔵書数は65万冊を超え、地域的ニーズを反映してビジネス関連と大阪に関する資料、古典籍に特化しているのも興味深い。特に古典籍に関しては20万冊を超え、歴史から文化、芸能、文学まで大阪にまつわる資料を網羅。いつの時代の大阪も見つめつづけてきた“知の殿堂”と呼ぶに相応しい建物だ。
近代建築の美を感じ、静かにゆっくりと流れる時間の中、さまざまな資料とともに考えを張り巡らせる特別なひととき。館内にはカフェ(※)なども併設され、思いおもいに過ごすことができる。
※2026年3月現在カフェは閉店中、2026年4月から新しいカフェがオープン予定。
大阪府立中之島図書館
住所:大阪府大阪市北区中之島1-2-10
電話番号:06-6203-0474(代表)
開館時間: 9時~20時(土曜:9時~17時)
休館日:日曜・祝日、3・6・10月の第2木曜、年末年始
アクセス:Osaka Metro 御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」(1号出口)徒歩約5分
駐車場:なし
URL:https://www.library.pref.osaka.jp/nakanoshima