Lifestyle

二人の大切な記念日に選びたい
2025年新作時計コレクションからピックアップ。大人カップルが、さりげなく“ブランド揃い”で持ちたいペアウォッチ

心躍るホリデーシーズンが近づいてきた。記念品やお祝い品、贈り物を選ぶ季節でもある。腕時計はいつも身に着け、見つめ、見つめられる特別なアイテム。大切なパートナーと一緒に、特別な1本を選んでみないか。最新・最旬のタイムピース3組を、時計ジャーナリスト数藤 健氏が紹介する。

Text:Ken Sudo
Edit:Shigekazu Ohno(lefthands)

パートナーと一緒に考える「Same」ではない「Similar」な時計選び

パートナーとの大切な記念日。これまでの「ありがとう」と、これからの「よろしくね」の気持ちを込めて、大人になった二人にふさわしい“一生モノ”の時計を選んでみないか。

かつてのようなお揃いの“ペアルック”では気恥ずかしく感じてしまうような大人たちの間で、今ひそかなブームとなっているのが、ブランドは同じでも異なるシリーズや色・素材のものから、それぞれの個性に合わせたアイテムをセレクトして持つというスタイル。同じ(Same)ものをペアで持つのではなく、それぞれの心の琴線に触れた近しい(Similar)モデルを持つということから“シミラールック”と呼ばれている。

今回は大人カップルにふさわしい、さりげなくもこだわりを感じさせる“シミラールック”な時計の組み合わせを、時計ジャーナリスト数藤 健氏が2025年新作コレクションの中からセレクトしてくれた。ぜひ、大切な日のプレゼント選びの参考にしてほしい。

1. Cartier
for men
著名な飛行家の名を冠した、スクエア・ウォッチをまとう
「サントス デュモン」

「サントス デュモン」エクストララージモデル。手巻き、ステンレススティール、ケースサイズ縦46.6×横33.9mm、日常生活防水、パワーリザーブ38時間。1,610,400円(税込み)。

航空黎明期のフランスで活躍したブラジル人飛行士アルベルト・サントス=デュモンは、飛行中に素早く時刻を確認したいと考えていた。そして1904年、のちにカルティエの三代目当主となるルイ・カルティエが、その願いを叶える。世界初の男性用腕時計「サントス」の誕生である。

幾何学的なフォルムとビス・モチーフを特徴とするサントスは、瞬く間にカルティエ ウォッチのアイコンのひとつに。その系譜に連なる現代のモデルが「サントス デュモン」だ。

パール状の飾り付きスティール製リューズに、ブルーシンセティックスピネル カボションをあしらう。サテン仕上げのシルバー サンレイエフェクト ダイアル。

今回紹介する2025年の新作は、ステンレススティール製ケースにイエローゴールド製ベゼルの組み合わせ。イエローゴールドの再評価・隆盛は今年のトレンドで、スティール製のビスとケースとの組み合わせはエレガントかつスポーティな印象を与える。イエローゴールド・ケース、そしてピンクゴールド・ケース(ベゼルもピンクゴールド)のモデルもラインアップしているので、より豪華な雰囲気を楽しみたい向きにはそちらがおすすめ。

アンセラサイトグレー アリゲーター ストラップ装着。ケース厚は7.5mmとスリム。

for women
「サントス ドゥ カルティエ」

「サントス ドゥ カルティエ」スモールモデル。クォーツ。イエローゴールド&ステンレススティール(ケースとブレスレット)、ケースサイズ縦34.5×横27mm、日常生活防水。1,663,200円(税込み)。

角に丸みを持たせたダイアル、調和のとれた曲線を描くラグ、ビス・モチーフのベゼルとブレスレットのアクセント──。「サントス」コレクションのデザインを踏襲する「サントス ドゥ カルティエ」に2025年、ケースのコンパクト化の流れに沿った待望のスモールモデルが登場した。

七角形のリューズにファセットを施したシンセティックブルースピネル、シルバーサンレイ ダイアル。

ローマン・インデックスやブルースティール製の剣型針(時針と分針)は、先に紹介した「サントス デュモン」と同様のデザイン。イエローゴールド&スティール製ブレスレットが標準装着だが、こちらはダークブルー カーフスキンのセカンドストラップも付属。ブレスレットならスポーティ、ストラップならよりエレガントな雰囲気が楽しめる。

ケース厚は7.08mm。ブレスレットとストラップには簡単に付け替えられるインターチェンジャブルシステムを搭載。

「サントス ドゥ カルティエ」スモールモデルは、ステンレススティール・ケースやイエローゴールド・ケースのモデルも展開。ムーブメントは約8年という電池寿命を誇る高効率クォーツムーブメントで、幅広いユーザーに受け入れられるはず。

時を越えて愛されつづけるカルティエのスクエア・ケースを持つ2つの定番モデルは、素材・サイズやダイアルカラーの豊富なバリエーションも魅力。パートナーとの“品定めの時間”も楽しめることだろう。

お問い合わせ

カルティエ
電話番号:0120-1847-00(カルティエ カスタマー サービスセンター)


2. ROLEX
for men
イエローゴールド・ケース×ブレスレットでゴージャスに
パーペチュアル 1908

自動巻き。イエローゴールド、ケース直径39mm、50m防水、パワーリザーブ約66時間。5,273,400円(税込み)。

創立者ハンス・ウイルスドルフがROLEXという自社の時計の名称を考案し、スイスで商標登録をした年が1908年。パーペチュアルは、同社では「自動巻き」の意。2023年に由緒ある名を冠して登場した「パーペチュアル 1908」は、1931年の初代「オイスター パーペチュアル」が持つクラシックでありながら現代的なスピリットを再解釈している。

ベゼル全体に山型のカットが等間隔で施され、光の反射により輝きを放つフルーテッドべゼルは、ロレックスのアイデンティティのひとつ。

ダイアルにはアラビア数字の3、9、12と、6時位置にはスモールセコンドが配されている。ロレックスの現行コレクションでは唯一、秒をスモールセコンドで表示するクラシカルな表情のタイムピースとなっている。ファセット(面取り)加工が施されたアワーマーカーは、両刃の剣のような形の分針とブレゲスタイルの時針という、異なる意匠の2つの針と見事に調和している。

搭載するムーブメント(キャリバー7140)は、日差マイナス2~プラス2秒以内に調整されており高レベルの計時精度を保証。「パーペチュアル 1908」のケース素材はイエローゴールドとホワイトゴールド、プラチナのモデルがラインアップしていたが、2025年の大きな話題は、イエローゴールド・モデルに「セッティモ ブレスレット」が組み合わされたこと。

ケース厚は9.5mm。全モデルがトランスパレント サファイア ケースバック仕様となっており、ムーブメントが時を刻む様子を見ることができる。

細やかな7列リンクで構成される金属ブレスレットはパーペチュアル1908専用のデザインで、現状はイエローゴールドのみ。手首にしなやかにフィットし、快適な着け心地をもたらす。もちろん、見た目のゴージャスさも大きな魅力となっている。


for women
オイスター パーペチュアル デイトジャスト 31

自動巻き。イエローゴールド、ケース直径31mm、100m防水、パワーリザーブ約55時間。7,327,100円(税込み)。

イエローゴールド・ケース×ホワイトダイアルの「パーペチュアル 1908」に寄り添うには、イエローゴールド・ケース×レッドダイアルの「オイスター パーペチュアル デイトジャスト 31」が好バランスだろう。中心の紅いカラーが徐々に暗くなり、周縁に近づくと漆黒になるグラデーションの“レッドオンブレダイアル”モデルは、2025年の新作だ。

日付の視認性を高めるためにつくられた“サイクロップレンズ”も、デザインと技術の両面においてロレックスを特徴づける。

ダイアルとベゼルには、熟練のジェムセッターがダイヤモンドをセット。ロレックスが誇る美しいジェムセッティングを実現するには、宝石本来のクオリティのほかに、宝石の高さや方向、位置が正確に揃っていること、規則性、セッティングの堅牢性とプロポーション、そして金属細工に施される入念な仕上げなどが重要な要素となる。こうした華麗なシンフォニーが、時計の美しさと身に着ける人の魅力を際立たせるのだ。

こちらのブレスレットは、半円形の3列リンクで構成される「プレジデント ブレスレット」。ホリデーシーズンのパーティや会食の場に、紅白の華やかなダイアルと黄金に輝くブレスレットが映えるはず。

お問い合わせ

日本ロレックス
電話番号:0120-929-570


3. グランドセイコー
for men
日本の美を投影したアートピースを、二人で楽しむ
ヘリテージコレクション メカニカル ハイビート 36000 SBGH347

(*ブランドではメンズ/レディスのカテゴリーを分けていません。あくまで記事内での分類です)

自動巻き。エバーブリリアントスチール、ケース直径37mm、日常生活用強化防水(10気圧)、パワーリザーブ約55時間。946,000円(税込み)。

スイスの見本市「WATCHES AND WONDERS GENEVA」にも出展し、今や世界で確固たる地位を築いたグランドセイコー。次々と世に送り出す“日本の美”を表現したダイアルを持つモデルが国内外で高い評価を得ている。秋冬シーズンに向けてまず注目したいのが、グランドセイコーの機械式モデルの製造元「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む岩手山で厳冬期に見られる「氷瀑」に着想を得たSBGH347だ。

「氷瀑」は、滝から流れる水が氷点下でゆっくりと時間をかけて凍りついていく自然現象。その幻想的な光景を、ダイナミックさと繊細さが共存したパターンを施したアイスブルーのダイアルで表現している。

岩手県八幡平市にある「七滝」は岩手山から流れる沢にかかる落差30mの滝で、厳冬期には巨大な氷柱をなす「氷瀑」を見せる。その壮麗さと氷の青白い神秘的な表情を、新たなダイアルパターンとカラーで表現。

直径37mmのケースには、耐食性に極めて優れた独自の「エバーブリリアントスチール」を採用。これは、一般的な高級時計に使用されているスティール材を上回る耐食性と白く美しい輝きを併せ持つ素材だ。従来、海洋構造物や化学・食品系プラントなどの塩化物含有環境にさらされる設備などの過酷な環境用に使われてきた素材で、腕時計のような装身具に求められる見た目品質を満たすことは困難だった。しかし、時代を越えて永く愛用できる美しさを追求しているグランドセイコーは、製造工程から根本的に見直し、ケースとブレスレット双方への実用化に成功した。

「ハイビート36000」の愛称を持つ高性能キャリバー9S85。

ムーブメントには毎秒10振動のハイビートムーブメント「キャリバー9S85」を搭載し、安定した精度を実現。10振動ムーブメントは、機械式時計の精度を司る「てんぷ」が1秒間に10回振動。これを1時間に換算すると36,000回になるため、「ハイビート36000」の愛称がつけられている。日本ならではの技術の粋と、美しさが融合したモデルとなっている。


for women
ヘリテージコレクション 手巻メカニカル SBGW323

(*ブランドではメンズ/レディスのカテゴリーを分けていません。あくまで記事内での分類です)

手巻き。ステンレススチール、ケース直径36.5mm、日常生活用強化防水(10気圧)、パワーリザーブ約72時間。770,000円(税込み)。

グランドセイコーを代表するダイアルパターンのひとつが「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む岩手山の山肌を繊細な型打ちにて再現した「岩手山パターン」。その模様と、岩手県の県花でもある「桐」からインスピレーションを得た柔らかな紫のカラーリングを融合した上品な顔立ちが、SBGW323の特徴となっている。

岩手県花の「桐」は、足利時代にのちに盛岡藩主となる南部家が大和から苗を移したのが始まりとされ、春を飾る淡い紫色の花を咲かせることから「南部の紫桐」の名で愛されている。

ケースは36.5mm径のミドルサイズ。先に紹介したSBGH347と0.5mmしか変わらないので、パートナーとシェア使いするのもいいだろう。一緒に選んで共有し、使い勝手や着け心地、思い入れを語り合う・・・。高級腕時計は、ときにコミュニケーション・ツールにもなるのだ。

キャリバー9S64は28,800振動/時(8振動/秒)

ムーブメントは、最大巻上時約72時間(約3日間)持続の手巻き「キャリバー9S64」を搭載。ぜんまいが解ける際のトルクが緩やかに減少していくため、安定した精度を実現する。自動巻きの小径ウオッチを望む方には「ヘリテージコレクション 62GS STGK031」(880,000円/税込み)もおすすめ。東北地方で春の初め頃に見られる、雪と桜が共存する儚くも美しい情景「桜隠し」をイメージした薄いピンクのダイアルを持つ、ケース直径30mmのモデルだ。

お問い合わせ

セイコーウオッチお客さま相談室
電話番号:0120-302-617

ここに挙げた3組は、性能・質感・高級感とも申し分のない“一生モノ”。LEXUS同様、持つ人、身に着ける人の見識や審美眼をさりげなく語ることだろう。この冬、パートナーとともに永く愛用できる時計選びの時間を楽しんでみてはいかがだろうか。


プロフィール

数藤 健(すどう けん)/ビジネス誌『週刊ダイヤモンド』で1998年からバーゼル/ジュネーブの時計見本市取材を開始。新潮社『ENGINE』編集部に2003年~2009年に在籍。その後『地球の歩き方』MOOK/Web編集長などを経て2021年に独立。2023年から『ENGINE』誌コントリビューティング・エディターとして時計担当を務める。独立後はほかにも『芸術新潮』『文春オンライン』『Webクロノス』などの媒体で記事を執筆。時計取材歴27年。

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