
気分を整え、ハンドルを握る心持ちにゆとりを持たせる
LEXUSのドライブは香りでもっと快適になる
「香り」には、脳に直接刺激を与え、心理的な影響を与える力があるという。自分らしいLEXUSの車内空間の演出をするための感性要素となるだけでなく、実はドライバーの安全運転にも寄与し得る、香りの効果について学んでみよう。
Text:Mari Maeda(lefthands)
Edit:Shigekazu Ohno(lefthands)
香りが人の行動や精神状態に作用する
LEXUSのハンドルを握ることは、単に移動する行為を超えて、空間と時間を自在に操る感性の表現でもあるはずだ。目に見える質感、指に触れるマテリアル、耳に届くサウンド――そしてもうひとつ、香りという“見えない演出”を加えることで、日々のくらしも、ドライブも、さらに豊かなものとなるだろう。
空間に一歩足を踏み入れた途端に、ふと感じる香り。そこから湧き起こった記憶や感情が、不思議とその後の気分を左右する――さらに、その後に起こることにも何らかの影響をおよぼすという体験をしたことはないだろうか。
「嗅覚で感じ取る香りは、わずか0.2秒で大脳辺縁系に到達し(痛覚は約0.9秒)、記憶や感情を司る海馬や扁桃体にダイレクトに働きかけることができる、五感の中でも唯一の情報です。私たち生き物は、もともと敵味方の判断や、交配の時期など、生きるために必要な情報を収集し、判断するために、嗅覚を進化させてきたのです」
そう語るのは、数多くの企業の“香りブランディング”、そして記憶に残る香りの特性を活かした“セントマーケティング”を手がけるJAGA(Japan Global Association)代表の浜田剛知氏。多くの五つ星ホテルや有名レストラン、航空会社、各種店舗、アミューズメント施設などにとどまらず、展覧会やイベントの趣旨にも合わせた香りをプロデュースする、香りのオーソリティ的存在だ。

JAGA(Japan Global Association)代表の浜田剛知氏。セントマーケティング事業のオーソリティとして、国内外で活躍中。
https://jaga.co.jp
日本には数少ない、フランス・グラースの専門機関で資格を取得した調香師を抱え、顧客のニーズに合わせて独自に香りを調合できることを強みとする。例えば、高揚感を醸し出す香りによって買い物意欲を向上させたり、落ち着きを与える香りによって安心感を醸成するなど、ターゲット層の行動や精神状態を、香りによって期待する方向へ誘導することを得意とする。
過去には、クラシックカーラリーイベントとして有名な「ラ・フェスタ ミッレミリア」の参加ドライバーに配るための、眠気を覚ます香りを調合した車内用フレグランスを開発したユニークな経験も持つ。

AGAがイタリア発祥のクラシックカーラリーイベント「ラ・フェスタ ミッレミリア」のために開発したカーフレグランス(右上)。
そんな浜田氏が今回語ってくれたのは、カーフレグランスの実用的な側面。もともとは車内の空間を自分らしく、エレガントに演出するための要素として用いられてきたものだが、シーンやシチュエーションによって香りを使い分ければ、より快適かつ安全な運転にも寄与するというのだ。
どんなドライブにしたいか――から考える香り
「運転中はリラックスしつつ、かつ常に周囲の状況を捉えて判断し、事故を避けるための集中力も求められます。あるいは気の置けない仲間や家族とのドライブの際には、楽しい気分を味わいたいものですよね。よい香りは、他人を乗せたときに褒められる要素にもなるでしょう。疲れたり眠くなったりしたときは、リフレッシュも必要です。そうしたすべてのシーンにおいて、香りによって、ある程度気分を導いたり、コントロールすることが可能だということが、研究によって明らかになってきています」
浜田氏が「ラ・フェスタ ミッレミリア」のドライバー用に開発した香りは、長い運転で疲れた頭をリフレッシュさせ、集中力をアップさせる効果のあるミント系ベースのものだったという。ほかにも、例えば渋滞に巻き込まれてイライラしたときには、心を落ち着かせ、からだの緊張をほぐしてくれるラベンダー系の香りが適していたり、あるいは集中力が切れてきた頃には、頭を爽やかにリフレッシュさせてくれるオレンジやレモン、グレープフルーツといった柑橘系の香りが望ましいなど、ドライブを楽しむ人にはぜひ香りのさまざまな効能を知ったうえで、使い分けをしてほしいと語る。

「これまで目で景色を楽しみ、耳で外の音や、あるいは音楽を楽しんでこられた皆さんですから、これからは嗅覚で楽しむ香りも、その効能の理解とともに取り入れていただければと思います。ドライブが、もっと感性を刺激する素敵な体験になるはずです」
おすすめしたい3つの香り
ここからは、LEXUSにふさわしい上質かつ個性の際立つ3つの香りを紹介する。運転するシーン、誰を乗せてどこに行くかといったシチュエーション、求める世界観などに合わせて、いくつかの選択肢を使い分けられたら、達人にして粋といえるだろう。香りに関する好みは人それぞれなので、ぜひ実際に試してみてほしい。
LINARI(リナーリ)
造形と香りが響き合う、静かで端正な存在
ドイツのインテリアデザイナー、レイナー・ディエンシェが手がけるLINARI(リナーリ)は、「香りをまとう建築」という哲学を体現するフレグランスブランド。視覚、触覚、嗅覚が交差するような緻密な設計は、空間そのものを静かに変容させていく。
注目したいのはカーディフューザーの意匠。車のスポークホイールをモチーフにした星型のフォルムは、スタイリッシュなたたずまいとエレガントな香りを融合し、車内のインテリアにさりげないアクセントを添える。シンプルで機能美に満ちたデザインは、LEXUSの空間にも調和することだろう。

香りの展開は全6種。爽やかさ、甘さ、ウッディな落ち着きなど、個性ある香調が揃っており、気分や季節に合わせて選ぶ楽しみがあるのもLINARIの魅力。
例えば初秋におすすめしたいのは、「OCEANO(オセアノ)」。シトラスやグリーン、ウッディのブレンドがもたらすのは、どこまでも続く水平線のような清涼感と、凪いだ海のような静けさ。残暑が続く中、爽快な香りは、車内に涼やかな夏の終わりの風を吹かせてくれるかのよう。


一方、より華やかで高揚感を求めるなら「OPALE(オパール)」を。爽やかなグリーンティとシトラスから、フルーツ、フローラル、スパイス、ウッドと次から次へと解き放たれる香りは魔法のよう。まるで夜空に舞う花火のように、めくるめく変化をしながら広がっていく。軽やかで明るく、どこか自由な気持ちを引き出してくれる香りだ。

香りは液体を使わないパッド式で約3カ月持続。交換もスマートで、手を煩わせない設計が嬉しい。香りごとにパッドの色が異なるのも洒落ている。
LINARIの香りは主張しすぎず、それでいて空間を凛と引き締めてくれる。香りという目に見えないインテリアを通じて、自分らしい静けさや高揚感を自在にまといたい人にふさわしい選択肢のひとつとなるだろう。
LINARI (リナーリ)
JO MALONE LONDON(ジョー マローン ロンドン)
海風のように自由な香りで、秋のドライブを軽やかに
英国生まれのジョー マローン ロンドンは、異なる香りを重ねづけして楽しむ「セントレイヤリング」の発想で知られるブランド。自由な感性を大切にするLEXUSオーナーにとっても、共鳴する価値観を持つといえるだろう。
この季節におすすめしたいのは「ウッド セージ & シー ソルト」。英国の海岸に吹き抜ける風のように、爽やかで自由な空気感を持つこの香りは、潮風とウッディなセージが溶け合い、夏の残り香のような開放感のある香りを車内にもたらしてくれる。

この香りはコロンやホームフレグランスなどでも展開されているので、住まいとクルマ、そして自分自身の香りを同じ世界観で統一できるのが魅力。その一体感は、香りのあるくらしを大切にする人にとって、大きな魅力となるだろう。

一方、あえて違う香りを組み合わせて、レイヤリングを楽しむことも。例えば、車内に「ウッド セージ & シー ソルト」を、身にまとう香りにはウッディな秋の訪れを感じさせる「イングリッシュ オーク & ヘーゼルナッツ」などを選ぶことで、よりパーソナルな表現が可能になる。
ディフューザー本体は、ブラックのシンプルなケースに専用カートリッジを装着するスタイル。カートリッジは交換式で、もう1種類の香り「ライム バジル & マンダリン」を気分や季節に合わせて選ぶこともできる。

※いずれも税込み価格。
香りをとおして生活空間を整え、日々のドライブに“自分らしさ”をそっと添える。ジョー マローン ロンドンは、そんな楽しみ方を教えてくれる。
JO MALONE LONDON(ジョー マローン ロンドン)
Aesop(イソップ)
深く静かに香る、哲学のある空気
1987年にオーストラリア・メルボルンで生まれたイソップは、植物由来と非植物由来の成分を調和させた製品づくりで知られる人気ブランド。洗練されたボトルデザインと、瞬時に癒される独創的な香りも、ファンが絶えない秘密。スキンケアやボディケアだけでなく、空間を整えるための香りにも、その美学は息づいている。

イソップのアロマティック ルームスプレーは、3つの香りが揃うコレクション。日常に寄り添いながらも、どこか詩的で、深い呼吸を促すような香りが魅力。シュッとスプレーするだけで、その場を癒しの空間に変えてくれる。一度使い始めると、ドライブ前のひと吹きが、車内と自分を整える小さな日常の儀式となるだろう。
古代ギリシャの港町に由来する「イストロス」はピンクペッパー、ラベンダー、ミモザが溶け合う華やかさの中に、シダーやサンダルウッドの温もりが静かに折り重なる香り。仕上げにほんのり漂うタバコの余韻が、全体に洗練された奥行きを添えている。スモーキーでありながら優雅な印象は、車内に落ち着きと品格をもたらしてくれることだろう。

一方、「キティラ」はネロリ、ゼラニウム、パチョリが織りなす濃厚なブレンド。ヘラクレスのような不屈の精神と古代の物語にインスピレーションを受け、アンブレットとミルラの温かくウッディでスパイシーな香りが、力強さと静けさを同時に感じさせる。どこか漂わせる異国情緒が、忙しい日常をしばし忘れさせてくれる。

そして3つ目の「オロウス」は、地中海の海底に消えた幻の都市の名を冠した、明るく透明感のある香り。グレープフルーツ、ベルガモット、ジャスミンが奏でるシトラスのメロディーに、カルダモンやインセンス、シダーウッドが穏やかに調和する。自然と深呼吸が促されるような爽やかさが、ドライブの気分を清らかに整えてくれることだろう。

どの香りも控えめでありながら印象深く、感性のリズムに寄り添いながら、移動の時間にささやかな変化と余白を与えてくれる。3つの中から好みのひとつを選んで愛用するもよし、その日の気分や季節によって使い分けてもいいだろう。香りを通じて、クルマという日常の中に、五感で感じる静かな世界をもたらしてくれる。
Aesop(イソップ)