
気になる逸品
スイスの時計見本市で見つけた。進化した人気メーカーの新作&限定品
王道ブランドが見せた進化、歴史が息づく限定モデル――。2025年春、ジュネーヴで開催された「Watches & Wonders」は、アニバーサリーイヤーを迎えたヴァシュロン・コンスタンタンなど、各ブランドの存在感が際立った。会場に集った名門たちの新作から、ロレックスの13年ぶりの新コレクション、ゼニスの“天空”を思わせるブルーセラミックモデルまで、時計界の現在地を静かに物語るタイムピースたちを紹介する。
Text:Aki Nogami
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)
2025年 4月、スイス・ジュネーヴにて開催された「Watches & Wonders 2025(以下WWG 2025)」。
今年は計60ブランドが集まり、前年比12%増となる55,000人以上が同展を訪れることとなった。そんな世界最大級となる時計の祭典で、愛好家たちから耳目を集めた時計がある。
ロレックスの13年ぶり、新コレクション

ホワイトゴールドベゼル&オイスタースチールケース、オイスタースチールブレスレット、ケース径40mm、厚さ9.7mm、自動巻き、2,255,000円(税込み予価・年内発売予定)
それが、ロレックスの「ランドドゥエラー」だ。
「ランドドゥエラー」は約13年ぶりとなる新作コレクション。最先端のデザインとムーブメントを採用し、計32件もの特許を出願している。
目を奪うのが、ケースとブレスレットが一体化したかのように見える新しいデザイン。このスタイルは1969年に登場した「クオーツ」モデルなどの意匠を再解釈したものであり、新開発の“フラットジュビリー”ブレスレットを施すことで、実に新鮮な趣をもたらしている。
六角形のハニカムモチーフをあしらい、「エクスプローラー」や「エアキング」から発想した6と9の大胆なアラビアンインデックスを添えた文字盤も見どころだ。

同機には完全自社開発・製造となる、36,000振動/時のハイビートムーブメント「Cal.7135」を搭載。“ダイナパルス エスケープメント”と呼ばれる革新的な新脱進機を採用することでエネルギー効率が非常に高く、耐磁性にも優れている。
ロレックスがこの新作に捧げた言葉は、「常に新しいチャンスをつかみ、自らの運命を切り拓いていく意志の強い人々のための時計」。今年のWWG 2025で大きな話題を呼んだタイムピースが、腕時計界の王者と呼ばれるその実力を語りかける。
お問い合わせ
日本ロレックス
電話番号:0120-929-570
URL:https://www.rolex.com/ja
名門ヴァシュロン・コンスタンタンは
270年の伝統を継ぐ限定モデルを発表
一方で、WWG 2025を飾った大きなトピックが、数々の「アニバーサリー」である。工房の始まりからコレクションの誕生に至るまで、多くのブランドがそれぞれの周年を祝す姿が見受けられた。
そんな中、創業から一度も途切れることなく、今年270周年の時を迎えたのが、ヴァシュロン・コンスタンタンである。

ピンクゴールドケース、ケース径38mm、厚さ7.77mm、アリゲーターレザーストラップ、手巻き、世界限定370本、4,004,000円(税込み)
同メゾンはジュネーヴにおける時計製造の伝統を継承する名門であり、卓越の複雑機構を生み出す技術力と、アートにも等しい芸術的な感性が高く評価されてきた。
今年は数々の代表作から限定モデルが登場したが、写真は、18世紀から続くジュネーヴ時計製造の歴史へとオマージュを捧げた「トラディショナル」から。

細身のベゼルや段差をつけたラグ、そしてクラシカルなレイルウェイトラックやドーフィン型の針、バトン型のアプライドインデックスなどの意匠がデザインコードとして受け継がれてきた。
周年モデルの文字盤には、メゾンを象徴するマルタ十字と幾何学模様が施されている。270周年のために誕生したモダンな装飾が、「トラディショナル」の機能美との見事な呼応を果たす。
お問い合わせ
ヴァシュロン・コンスタンタン
電話番号:0120-63-1755
URL:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html
ゼニス160周年、夜空のように美しい
“ゼニス ブルー”モデル
同様に、創業160周年を迎えたのがゼニス。WWG 2025の傾向として“カラーセラミック”の流行が挙げられるが、ゼニスは自身のアニバーサリーイヤーに向け、見事な“ゼニス ブルー”のセラミックモデルを提案した。

ブランド名のゼニスとは、“天空の頂点”を意味する言葉。
もっとも正確で信頼性の高い「完璧な時計」を求めた創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコが、満天の星空を眺めながら未来に想いを馳せたという逸話から、夜空を思わせるブルーは、ゼニスとって特別な色彩として愛されてきたのである。
コーティングとは異なり、素材に色を練り込むカラーセラミックにおける見事な発色を達成するために、およそ2年の開発期間が要された。

3種のアイコンコレクションに採用された中から、写真は「デファイ スカイライン クロノグラフ 160thエディション」。
1969年誕生の「デファイ」を現代的に再解釈した時計はファセットカットのベゼルなどのシャープなシルエットを特徴とするが、鮮やかなブルーがその魅力をさらに際立てている。文字盤に施した幾何学的な星の模様も、創業者から続く時計製作へのさらなる夢を綴るだろう。
お問い合わせ
ゼニス
電話番号:03-5635-7036
URL:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
過去から現在、そして未来へ――名門ブランドが掲げるウォッチメイキングの“今”が、新たな時代の到来を予感させる。