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日本の美意識をモダンに昇華。有田焼窯元「深川製磁」のテーブルウェア

透けるように白い磁肌に映える、深く、澄んだ神秘の青「フカガワブルー」。「深川製磁」は、従来の有田焼とは一線を画す「深川様式」と呼ばれるスタイルを確立した陶磁器ブランドだ。伝統的な有田焼の技法や美意識を守りつつ、時代に合わせたデザインや技術を積極的に導入して生まれた気品ある美しさは、世界でも高い評価を得ているほか、明治43年(1910年)には高度な製陶技術が認められ、宮内庁御用達を拝命。その歴史やものづくりのスピリットを紐解いていこう。

Text:Chie Nakano(Fe)
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

代々有田焼を支えた技術と、創業者のモダンな感性が融合

日本の磁器発祥の地・佐賀県有田町。初めて磁器が焼かれたと伝わる1616年からほどなく、1650年頃から深川家は代々窯焚き業を営み、有田焼の発展を支えてきた。1894年、渡欧により海外の文化に造詣が深かった深川忠次氏が「世界一のやきもの」を目指して「深川製磁」を設立。創業当初から積極的に海外市場を開拓し、輸出を拡大した。

その透き通るような磁肌と、日本らしい美観を表現した華やかで気品のある絵付けは世界中の人びとを魅了し、1900年のパリ万国博覧会や1904年のセントルイス万国博覧会ではともに金牌を受賞するなど高い評価を受けた。1910年には宮内庁御用達となり、現在も宮中で「深川製磁」のテーブルウェアが使用されている。

左:創業時に建てられた工房は今も現役。ここで数々の名品が生み出されてきた。右:深い色の瑠璃地に墨弾き技法で浮かび上がらせた白抜きの模様が特長の草花折枝白抜紋のミート皿(26cm)16,500円(税込み)

至高の作品を実現するプロフェッショナル集団

「深川製磁」の高い品質を守っているのは、それぞれの工程において最高の仕事を果たすプロフェッショナルチームだ。通常、有田焼は分業制でつくられるが、「深川製磁」は創業時から原料の選定から成形、焼成、絵付けまで、すべての工程を自社で一貫生産できる体制をとっている。こうすることで職人同士が密に連携し、最高品質を追求できるというわけだ。培われた技術の高さは有田で最多となる7名の伝統工芸士が在籍していることからも明らか。品質への徹底した姿勢で世界からの信頼を集めてきた。

生地づくりや絵の具の調合も自社で行っている。光にかざすと透けるほどの白磁は天草地方の上質な陶石から生まれる。
「呉須(ごす)」と呼ばれる顔料で染め付けの青を表現。緊張感あふれる作業。

「深川製磁」の代名詞でもある白磁と鮮やかな青を生み出しているのが、1350度で焼き上げる高温度還元焼成の技術だ。高温でしっかりと焼ききることでコントラストが美しく、軽量で強度の高い作品が生まれる。13〜14時間にもわたる焼成中は職人が目を離さない。

左:一般的な磁器の焼成温度より高温で焼き上げ、成形した器が不安定な状態になるリスクがあるため、人の目が欠かせない。右:絵付けの絵の具は約600種類あり、ほとんどが自社調合の深川製磁オリジナル。

使い心地と機能美を兼ね備え、現代のくらしに合う器を提案

創業時から貫かれてきた伝統と革新の融合。そのスピリットは130余年経った今も脈々と受け継がれている。

極限までシンプルに削ぎ落としたミニマルなデザインの「てとて」シリーズは、和洋中どんな料理にも合わせやすく、スタッキングもしやすいのが特徴だ。

「てとて」シリーズの「ヒスイ」。ポット22,000円、オーバルプレート13,750円、スモールカップ5,500円、ちょこ3,630円、丸ボウル6,600円(すべて価格は税込み。※青磁の皿は参考商品)

また、職人が調合したモダンなセルリアンと丸みを帯びたフォルムが特徴の「TEWAZA」シリーズはポットの注ぎ口の湯切れのよさにも感動できるはず。深川製磁のロゴにも使われている富士山と流水を描いた祝皿は、慶弔時のギフトにも最適だ。

左:「TEWAZA」シリーズのセルリアンkiwami POT 11,000円(税込み)。右:「富士山」シリーズの富士三景 祝皿(3枚組)22,000円(税込み)

職人の精緻な手しごとが生み出す世界に誇れる「深川製磁」の磁器。その美しいたたずまいは食卓に高貴な気品をもたらしてくれることだろう。


今回ご紹介した「深川製磁」については、以下リンクよりご購入いただけます。


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