宿る「美と力」
カラーリングに込められたレクサスならではの美意識。
あなたはクルマの色をどんな基準で選んでいますか。好きな色から? 人気色から? 色はマイカーの魅力をさらに高めてくれる重要なポイントです。そこで今回は、気になるカラーリングに着目します。魅力的なボディカラーの紹介をはじめ、レクサスのカラーリングの考え方を改めてお伝えいたします。
Text:Daisuke Katsumura
レクサスが長年の開発技術を結集して導入した
「銀影ラスター」なる色の正体は?
レクサスではシルバー系をカラーデザインの本質を追求する重要な色域として認識し、長年開発に力を注いでいます。そんななか、2020年7月に発表されたばかりの新型LSに向けて新規開発したシルバー系のボディカラー、「銀影(ぎんえい)ラスター」が注目を集めています。
「銀影ラスター」は、光輝材(アルミフレーク)を含んだ塗料の体積を凝縮させる「ソニック工法」を応用しアルミ蒸着を高密度で敷き詰める最新の塗装技術を採用することで、粒子感をほとんど感じさせることなく、なめらかな質感を実現。
周囲のわずかな光も繊細に捉え、より陰影感を強調し、さまざまな表情を見せる特別なシルバーとなっています。LSというとブラックのイメージが強いですが、こうなってくると、がぜん「銀影ラスター」が気になってきますね。
白いボディにカーボンボンネットというワイルドな出で立ちと、その本当の理由とは?
レースでも活躍する高いパフォーマンスを持つレクサスのDNAを継承するモデルとして、モデル名にFを冠しているのが、RC Fです。現在のラインナップでは唯一のFモデルとなります。
RC FというとCarbon Exterior packageなどに標準で装備されるブラックのボンネットが特徴的ですね。いかにもレーシーな雰囲気ですが、これは決してスタイリングだけのためにブラックなわけではありません。
RC Fの一部のモデルにはフロントフードやバンパーなどに、通常の鉄やFRPよりも軽量で強度のあるカーボンを採用しています。これにより前後の重量バランスを最適化し、サーキットでのパフォーマンスを向上しているのです。
ボンネットがカーボン地、つまり黒いままなのにはもうひとつ理由があります。サーキット走行時にドライバーへの不要な光の反射を防ぐため、反射率の低いブラックがチョイスされているのです。
日本ではあまり選ばれないグリーン系の魅力
日本人にとって、ボディカラーの選択肢は広いようでいて、実は大してありません。シルバー、ブラック、ガンメタリック、そしてホワイト。候補を挙げればそのほとんどがモノトーンであることに驚くはずです。
ところがレクサスには魅力的なボディカラーが多数ラインナップされています。なかでもレクサス車に多くラインナップされているのがグリーン系のボディカラーです。
グリーン系と聞くと、ピンとこない人がほとんどでしょう。日本ではあまり人気色の上位に入る系統ではないからです。ところがアメリカ市場ではグリーン系のボディカラーは常に人気があり、必ずといっていい程ラインナップされています。
例えばCT200h“version L”に2020年夏に追加されたテレーンカーキマイカメタリックは、濃いめのグリーンがコンパクトなボディによく似合います。このボディカラーはUXやLX、RX、NX、などにも設定されている定番色でもあるのです。
あえて大人になってから乗りたい黄色いボディ
あなたは黄色いボディカラーのクルマに乗ったことがありますか? 通常なかなか選ばない色なので、経験者は少ないかもしれません。かなり派手な色なので、若い頃に選んだことがある人もいるでしょうが、実は大人になってから乗る黄色いボディには魅力がたっぷり詰まっているのです。
歴史的な側面をたどっていくと、色の薄い黄色という染料は、他の色と比べて鉄板を染める力が弱く、量産車に採用するには難しい色とされてきました。近年は塗料の進化はもちろん、自動塗装技術などの進化もあって、黄色いボディをラインナップすることが可能となったのです。
ちなみに黄色は膨張色です。つまりLC500のように色に負けない、しっかりと力強いボディラインを持つクルマだからこそ、似合う色でもあるのです。
多くの人を魅了するブラックというボディカラー
高級車のイメージが強いブラックのボディカラー。古くから高級乗用車には必ずといっていい程ブラックのボディカラーが設定されています。
ブラックが特別な理由。それは各色の中で一番の収縮色であるという点です。メリハリのあるボディデザインとモールやグリルなどのクロームパーツなどがバランスよく揃わなければ、ブラックの色合いで魅力あるボディラインを表現することは難しいのです。
ちなみにレクサス車はLSやESといった大型車のみならず、コンパクトカーに至るまで全車種にブラックボディの設定があります。どのクルマもブラックボディがよく似合うメリハリあるデザインであることはいうまでもないでしょう。
新型ISで注目の成熟した2カラー
2020年6月に世界で発表され、日本での発売はこの秋頃に予定されているISでは、新たに開発された2色を採用。
高精度なプレス技術によって実現したシャープな造形を強い陰影によりさらに際立たせてくれるソニックイリジウム(写真上)と、金属質感と高光沢によって、より力強い印象をあたえてくれるソニッククロム(写真下)です。
1999年の初代モデルの登場より、「クルマを操る楽しさ」を追求して来たISが、ワイド&ローなフォルムやボディの曲線など細部にまでこだわり抜いて仕上げた一台です。その造形から受ける印象が、ふたつのカラーによってどう変わるか。自らの目で確かめてみるのも楽しいのではないでしょうか。